第28話「リゾートの冒険と家族の絆」
朝日が山々の間から顔を覗かせる頃、リリィは目を覚ましました。大きな窓から差し込む光に、家とは違う場所で目覚めたことを改めて感じます。
「そうだ! 今日はプールに行けるんだ!」
リリィは興奮して飛び起きました。ベッドの横では、ムーンとサニーがすでに目を覚まし、尻尾を振っています。
「おはよう、リリィ。よく眠れた?」
フローラが優しく声をかけました。
「うん! すっごくよく眠れたよ。今日はプールに行けるんでしょ?」
「そうよ。でもその前に、朝ごはんをしっかり食べましょうね」
家族そろって、ホテルのレストランで朝食をとりました。バイキング形式の朝食には、様々な種類のパンやフルーツ、地元の特産品などが並んでいます。
「わぁ、おいしそう! これ、なんていう果物?」
リリィが指さしたのは、見たことのない赤い果実でした。
「それはヤマボウシの実だよ。この地域の特産品なんだ」
テラが説明しました。リリィは興味津々で一口かじってみます。
「う~ん、ちょっと酸っぱいけど、おいしい!」
朝食を楽しんだ後、リリィたち家族はいよいよホテル内の大型ウォーターパークへ向かいました。エレベーターを降りると、まるで別世界に来たかのような光景が広がっています。
「わぁ! すっごく広い!」
リリィは目を丸くして、巨大なプール施設を見渡しました。天井が高く、自然光が差し込む室内には、様々な種類のプールやアトラクションが広がっています。
更衣室で新しい水着に着替えたリリィは、わくわくしながらプールサイドに立ちました。テラが優しく声をかけます。
「リリィ、急に深くなってるところもあるから気をつけてね」
「はーい!」
リリィは慎重に水に足を入れます。少し冷たい感触に、小さな悲鳴を上げながらも、すぐに水に慣れていきました。
「パパ、見て! 泳げるよ!」
リリィは犬かきで前に進みます。テラは近くで見守りながら、時々アドバイスをしています。
プールサイドでは、ムーンとサニーが首を傾げて水の中のリリィを見つめています。犬専用のプールエリアもあり、二匹も水遊びを楽しみました。
しばらく泳いだ後、リリィは次のアトラクションに目を向けました。
「ねえねえ、あれは何? 水が流れてるよ!」
フローラが説明します。
「あれは流れるプールっていうのよ。川みたいに水が流れているの」
「やってみたい!」
リリィは浮き輪を持って流れるプールに挑戦します。最初は少し怖がりましたが、水流に身を任せると、すぐに楽しさにのめり込みました。
「わぁ! 川みたい! 面白い!」
流れに乗ってゆっくりと進むリリィの笑顔が、水面に反射する光と共に輝いています。
次に向かったのは、波のあるプールでした。規則的に起こる波に、リリィは最初戸惑いましたが、テラに手を引かれながら少しずつ慣れていきます。
「パパ、波が来るよ!」
大きな波が来る度に、リリィは歓声を上げます。時には波に飲まれそうになりますが、テラがしっかりと支えています。
「リリィ、上手になってきたね」
フローラが褒めると、リリィは誇らしげな表情を見せました。
昼食を取った後、いよいよリリィが楽しみにしていたウォータースライダーに挑戦です。
「ちょっと怖いかも……」
高さを見上げて、リリィは少し躊躇します。
「大丈夫よ、リリィ。パパと一緒に滑ればいいわ」
フローラの言葉に勇気づけられ、リリィはテラと一緒にスライダーの頂上へと向かいます。
「準備はいい? 行くよ!」
テラの声と共に、二人は一気に滑り出しました。
「きゃーーー!」
リリィの歓声が響き渡ります。高速で曲がりくねったコースを滑り降りる感覚に、恐怖と興奮が入り混じります。
プールに飛び込むように到着すると、リリィは大きな声で叫びました。
「もう一回やりたい!」
その後も、リリィは何度もスライダーを楽しみました。徐々に慣れていき、一人でも滑れるようになります。
夕方近くになり、家族は最後にジャグジーでくつろぐことにしました。温かい泡の中で体を休めながら、リリィは今日一日の冒険を振り返ります。
「パパ、ママ、今日はすっごく楽しかった!」
「よかったね、リリィ。また来年も来られるといいね」
テラとフローラも、リリィの喜ぶ姿に満足そうな表情を浮かべています。
ホテルの部屋に戻る頃には、リリィはすっかり疲れた様子でしたが、目には満足感が満ちていました。ベッドに横たわりながら、リリィは今日の思い出を一つ一つ思い返します。流れるプールの心地よさ、波のプールでの興奮、ウォータースライダーでの冒険。全てが鮮明に心に刻まれています。
明日は帰る日ですが、この水の楽園での一日は、きっとリリィの心に長く残る素晴らしい思い出となることでしょう。
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