第15話「母の優しさと娘の成長」
初夏の夕暮れ時、リリィとフローラは二人でゆっくりとお風呂に入っていました。
湯気の立ち込める中、二人は向かい合ってゆったりと湯船に浸かっています。
「ねえ、ママ」
リリィが小さな声で呼びかけました。
「なあに、リリィ?」
フローラは優しく微笑みかけます。
「ママの髪、とってもきれいだね。私も大きくなったら、ママみたいな髪になるのかな?」
リリィは、フローラの長くしなやかな髪を見つめていました。
「そうね。でも、リリィの髪だってとってもきれいよ。ほら、こんなにつやつやしてるでしょう?」
フローラはそう言いながら、リリィの髪を優しく撫でました。
「えへへ、くすぐったいよ、ママ」
リリィはくすくすと笑います。
「じゃあ、ママが髪を洗ってあげるわね」
二人は湯船からゆっくりとあがります。
フローラはシャンプーを手に取り、丁寧にリリィの髪を洗い始めました。
「ママの手、気持ちいいな」
リリィは目を閉じて、母の優しい手つきを感じています。
フローラはゆっくりとリリィの髪を洗うと優しくお湯で流してくれました。
湯気の立ち込める浴室で、フローラはリリィの前に座りました。
「さあ、リリィ。今度は体をきれいに洗いましょうね」
フローラは柔らかいスポンジに石鹸を付けると、優しくリリィの肩から洗い始めました。
「くすぐったいよ、ママ」
リリィはくすくすと笑います。
「ごめんね。でも、しっかり洗わないとだめなのよ」
フローラは丁寧に、優しくリリィの腕や背中やおなかを洗っていきます。
「ママの手、あったかいね」
「そう? リリィの体も温かいわ」
二人は微笑み合いました。フローラは次に足を洗い始めます。
「リリィ、足を伸ばしてね」
「はーい」
リリィは言われた通りに足を伸ばします。フローラは丁寧に足の指の間まで洗いました。
「ママ、くすぐったい!」
「もう少しだから辛抱するのよ、リリィ」
「はーい……くすくす」
リリィはくすぐったさで笑いそうになるのを必死にこらえました。
「はい、終わりよ。さっぱりしたでしょう?」
「うん! ありがとう、ママ」
リリィは立ち上がり、フローラに向き直りました。
「じゃあ、今度は私がママの背中を流してあげる!」
「まあ、ありがとう。優しいのね」
フローラは背中を向け、リリィは小さな手にスポンジを握りしめました。
「えいっ」
リリィは真剣な表情で、フローラの背中を洗い始めます。
少し力が入りすぎて、フローラがくすぐったそうに身をよじります。
「あら、リリィ。そんなに強くしなくていいのよ」
「ごめんね、ママ。優しくするね」
リリィは力を抜いて、ゆっくりとフローラの背中を洗いました。
「上手ね、リリィ。気持ちいいわ」
フローラの言葉に、リリィは嬉しそうに顔を輝かせました。
「えへへ、ママに気持ちよくなってもらえて嬉しいな」
母と娘は互いを思いやる気持ちを込めて、優しく体を洗い合いました。湯気の向こうに、二人の笑顔が浮かんでいます。
「あらリリィ、また背が伸びたんじゃない? あっという間に大きくなって……」
フローラの声には喜びと少しの寂しさが混じっていました。
「そうかしら? でも大丈夫! あたしはずっとママの子供だよ! 大きくなっても、ずっとママと一緒にお風呂入ってあげる!」
リリィの無邪気な言葉に、フローラは優しく微笑みました。
「ええ、そうね。でも、いつかリリィにも恥ずかしくなる日が来るかもしれないわね」
「えー、そんなことないよ。ずーっとママと一緒がいいもん」
リリィは頬を膨らませます。
フローラはそんなリリィを愛しそうに抱きしめて、ほっぺたに軽くキスをしました。
リリィもその優しい感触にうっとりとします。
湯船の中で、母と娘の温かい時間が静かに流れていきました。
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