第69話 真実は変わることを知らない

 それから更に10年、ある年のクリスマスイブ、テイトと共にクリスマスのショーを観に行ったことがあった。そこで良きしていなかったことが起きた。


 劇場のトイレに寄ったときだった。トイレを掃除していた一人の女性が突然真奈美の方を振り返って嬉しそうに寄って来たのだ。


「マナミではないの?」

 なんとそれはトロイの従姉妹従のリンダだった。金髪の髪を縛ってポニーテールにしていたが、リンダに間違いなかった。


 トロイの次の奥さんを迎える手前、立場上困るからと真奈美との縁を切ってきたリンダ。彼女は金持ちの親を持ち、なに不自由なく育った従姉妹の一人だった。その彼女が今なぜ劇場にあるトイレの掃除を?


 清掃夫の制服に身を包んだ自分の身なりを照れながら、それでも、真奈美の離婚で真奈美との縁を切ったあのリンダが偶然真奈美と再び出会ったことを喜んでいるではないか!


 真奈美はどう振舞って良いのか分からず戸惑っていた。すると、真奈美の表情を読んだ彼女は言った。

「マナミ、心配しないで。私はあなたとトロイに本当に何が起きたのか分かっているのよ。トロイの異常なる怒りの一面を垣間見て、あなたの苦労が嫌と言うほど分かったわ。


 私だけではないのよ。私の死んだ母も、妹も皆真実がよく分かったのよ。だから、もう心配しないで。


 ねぇ、それよりも、さっき一緒にいた人は今のご主人なの?とっても優しそうな人ね。幸せそうで本当に良かったわ。


 私がなぜこんなことをしているかって思っているでしょ?まぁ、人生色々あるからね」


「リンダ、その通りだよ。人生色々あるから、何も言わなくてもいいよ」


 真奈美はリンダをしっかりと抱きしめた。真奈は彼女にそこで再会できたことを心から嬉しく思った。


 「ずいぶん長い時間がかかったが、真実が自然に歩き出すのをただ気長に待っていて本当に良かった」と思わず涙ぐむ真奈だった。


To be continued...

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