第65話 罪人たち
真奈美の家出から離婚に至るまでの間、いつも真奈美の力となって応援してくれていた人がいた。
今や真奈美にとって、なくてはならない親友となったルミ子さん。彼女は、長年仏教の信者として人のために労を惜しまず尽くしてきた人だった。どんなときも落ち着いてものごとを冷静に処理している彼女には、凡人にない強さが感じられた。
しかし、そんな彼女にも汚点があった。ルミ子さんがまだ日本にいた若い頃、戦後のゴタゴタの時代に、無免許運転をして小さい子供の父親だった人を間違って轢き殺してしまったのだ。その罪の意識に苦しみあげいた結果、彼女は仏の道を歩む決意をしたのだった。
そして、その後もまた、何回も男に騙されたりの長い苦労の道を歩いてきていた。
そんな彼女だからこそ、真奈美の汚点をも全て受け入れて心を開いてくれた。彼女はけっして綺麗ごとを並べたてたり、高飛車に説教をたれたりすることはしなかった。
取り消すことのできない過去は、それを乗り越えるところまで自分自身を高めて行くことで汚点をも生きる力に変えて行くことを自ら示してくれたのだった。
同じように汚点を持つ真奈美は、彼女と共に力を合わせながら励まし合い、これからの人生を歩んで行こうとお互いに心に誓うのだった。それゆえに、彼女との友情には見栄や隠し事がなく、姉妹の如くに自己をありのままに見せることができた。
真奈美は思った。
人生とは選択の連続だ。汚点を引きずって生きていくか、汚点を潔く取り除き、新たな希望に夢を託して前を向いて進んで行って自分の人生に何かしらの意味を加えていくか、それが我々に与えられた選択であると・・・。
To be tontinued...
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