第29話 無料でできる交換レッスン
真奈美はせっかく日本にいるのだからと、自分のデザインの勉強のことを考えた。
東京で著名なデザイナーに就いてグラフィック・デザインの勉強をしたい。
まずは本屋へ行って、グラフィック・デザインの本を何冊か立ち読みした結果、お目当てのデザイナーを見つけた。
しかし、そのデザイナーが教えているデザイン・スクールの授業料は高く、現在の真奈美にはとても払えない額だった。
そこで、真奈美はそのデザイナーのいる学校へ赴いて、目指すデザイナーと会って直接交渉することにした。
ミスター・デザイナーと会うや否や真奈美は質問した。
「先生は英会話が上手にできるようになりたいと思いますか?」
「そりゃ、思いますが、なかなか難しいですよね」
「私が先生に英会話が上手になる方法をお教えしますから、先生が私にグラフィック・デザインを教えて下さいませんか?お互いに授業料の心配をすることなく勉強ができます。どうでしょうか?このアイディアに賛成されますか?」
ミスター・デザイナーは、一瞬びっくりした表情を見せたが、真奈美の情熱に押されて、ついOKをしてしまったと後になって白状していた。
かくして、真奈美とデザイナーは、真奈美が東京を去るまでの間ずっと週に一回、英会話とデザインの交換レッスンを欠かさずに続けた。
真奈美はこうしてデザインの基本を第一線のグラフィック・デザイナーから無料で学び取ることができたのだった。
頭は使いよう。お金がないから無理だと諦める必要はなかったわけだった。
To be continued...
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