(4)キラーベアー&怪鳥ガルーダ戦後
(SE:ワープの音)
【膝枕の想定で正面・やや近距離】
「――様……勇者様」
「お帰りなさいませ、勇者様」
「先日はお早かったですが、今日はまた随分と夜更けだったのですね?」
「あ……えへへ、お気づきになりましたか?」
「今日はいつもの正装ではなく、パジャマなんです。季節の変わり目ですから、新調してみました」
「本当は、正装でお出迎えした方が良いのでしょうけど……せっかく可愛いのを見つけたので、勇者様に見てもらいたくって」
「でしょう? 実はここの仕立屋さん、今勇者様がお召しになっている服も手掛けているんですよ~」
「えっ、パジャマもいいけれど、一番かわいいのはわたくし……?」
「髪を下ろしているからいつもと違う可愛さがある……?」
「う、う、うぅ……急に恥ずかしくなってきました。勇者様、ズルい人です」
【主人公とヒロインがじゃれ合うので距離が行ったり来たりする】
「もうっ、もうっ、褒めるの禁止です! せっかく湯浴みを済ませたのに、また汗をかいてしまうじゃありませんかっ!」
「きゃっ、匂いを嗅いじゃだーめーでーすー! 『褒めたのは石鹸だから大丈夫』じゃありませんー!」
【ここまで】
「……むぅ。今度ハ何デスカ?」
「えっ? 湯冷めしてしまわないかって?」
「大丈夫ですよ。いつもこの時間は、本を読んでいますので」
「それに、風邪の悪魔がやってきても、勇者様が倒してくださるでしょう? なーんて。ふふっ」
【ヒロインが主人公のニオイを嗅ぐので、ここだけ至近距離】
「……くん、くん。んん?」
「勇者様、何だかいい匂いかしますね……? なんだか大鍋料理のような……?」
「これは……わかりました! お肉のスープですね!」
「正解!? やったー!!」
「――はっ!? やったーじゃありませんよ! どうしてそんな匂いのするところからリスポーンをされてきたんです!?」
「ケワシー
「なんと。その原因はモンスターだったのですか」
「……ええっ、フモト村とヤマアイ村、それぞれにボス級モンスターの縄張りが!?」
「一歩間違えれば谷底の中、キラーベアーとガルーダを相手に月下の大立ち回りを……」
「よくぞご無事で。ここで勝利を収められるのは、勇者様しかおられませんねっ!」
「……んっ? あれっ? でも、リスポーン……んんっ?」
「あの、勇者様? どうしてお顔を逸らされているのですか?」
「さあ、続きをどうぞ」
「いえ、何も訝しんでなどおりません。勇者様の旅の土産話を催促しているだけですから、ええ♪」
「ふむふむ……キラーベアーとガルーダを倒して、そのまま山の中で夜を明かすことにしたと」
「晩ご飯に、そのお肉でお鍋を……なるほど、この良い匂いはそれですね?」
「それでそれで……わあ、星空ですか!」
「そうですよね。ケワシー山の頂上はこの国で最も標高の高い場所ですから」
「えっ、星に手が届きそうな距離だったのですか!? きゃあ、素敵!!」
「いいなあ。わたくしもいつか、実際に見てみたいなあ……」
「――はっ!? いけないいけない。『見てみたいなー♪』じゃありません!」
「さては勇者様、今、しれっと話を逸らそうとされていませんでした?」
「観念してください。リスポーンの後しばらくは勇者様も立ち上がれないでしょうし、その後は、聖女相伝☆光の拘束魔法で、白状するまで出してあげませんからね」
「…………え゛っ、お腹を壊した?」
「お肉だけだと単調だから、山菜やきのこを採ってきて……その中に毒きのこがあったと?」
「はあ~~~。もう、心配して損しましたあ……」
「はい、どっと力が抜けました。湯冷めしちゃいました。許しません」
「えっ? この時間は読書をしているから湯冷めも何もないんじゃないかって? 知りません」
「罰として、勇者様にはこれからわたくしに付き合ってもらいます」
「何をするのかって?」
「ふふーん♪ そ・れ・は――」
「すべての女子を罪悪感に苛ませる、悪の権化! 『お夜食』ですっ!!」
「な、なーんですかその目は。だってえ、仕方ないじゃありませんか。勇者様のお話を聞いていたらお腹が空いてしまったんですもの」
「安心してください。わたくし、毒キノコを入れてしまうような誰かさんと違って、お料理はそれなりに得意なんですよ」
【ここだけ小声で。俯き加減に距離遠め】
「……いつか勇者様にと思って、練習を始めたばかりなのは内緒ですけど」
【ここでぐっと近づいて、左耳至近距離、有声囁き】
「それに、お食事が中断されてしまって、勇者様も物足りないでしょう?」
「教会にお肉はありませんけど、その分、愛情をたっぷり入れますから、楽しみにしてくださいね♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます