第4話

停電の暗い部屋の中で、夏と瑠璃はリビングのソファに座り、ふわふわのタオルの上で丸くなっているねこまるを見つめていた。静かな雨の音が窓から聞こえ、時折雷が遠くで光る。


「ねこまる、ありがとうね」と夏が言いながら、少し緊張した様子でねこまるを見た。


「どういたしましてまる」とねこまるが答える。「君たちがゲームを再開できるように手伝いたいまる。」


瑠璃が興味深そうにねこまるに近づき、「それにしても、どうしてゲームから出てこれたの?普通はそんなことありえないよね」と問いかけた。


「雷の影響で、私の世界と君たちの世界が繋がったまる。君たちの感情や心が、私に届いたまるよ」とねこまるが説明する。「君たちが一緒にゲームをしている姿を見て、二人がどんな気持ちかを感じ取ったまる。だから、助けに来たまる。」


夏が少し考え込みながら、「私たち、何かしらお互いに気づきたかったのかな」とつぶやいた。「でも、どうして感情が私たちの気持ちを伝えるの?」


「君たちの心は、私の心と繋がっているまる。感情は言葉よりも強いまるよ」とねこまるが優しく言う。「だから、君たちがゲームの中で楽しんでいるのを見ると、私もその喜びや不安を感じるまる。二人が互いにもっと理解し合えるように、手助けしたいまるよ。」


「理解し合う…」と瑠璃が少し考えながら言った。「でも、どうすればいいのかな?ゲームが終わったら、また普通の生活に戻るだけだし。」


「普通の生活も大事まる。でも、今この瞬間、君たちが一緒にいることがとても大切まる」とねこまるが言う。「君たちが心を開いて、お互いをよりよく知ることが、これからの楽しい時間に繋がるまるよ。」


「うん、そうだね」と夏が頷いた。「瑠璃と一緒にゲームをして、こうして話すことで、いろいろなことを学んでいる気がする。」


「私もそう感じるよ」と瑠璃が微笑みながら答えた。「一緒にいることで、お互いの気持ちや考え方をもっと理解できたような気がする。」


「それが大切まるよ」とねこまるがにっこり笑った。「心を通わせることで、君たちの絆がもっと深まるまる。これからも、お互いにとって大切な存在でいてねまる。」


停電の中、夏と瑠璃はねこまるとの会話を通じて、自分たちの感情や考えを新たに見つめ直すことができた。どこかで雷の音が鳴り響く中、二人はその言葉を心に刻みながら、今の大切な時間を過ごしていた。

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