第7話 「カフェに訪れた危機(前編)」
ある日、大樹がいつものように放課後カフェ「黄色いチューリップ」に向かうと、店内の様子がいつもと少し違うことに気づいた。萌果がカウンターで心配そうな顔をして何かを考え込んでいた。
「萌果さん、どうしたんですか?」
心配して声をかける大樹に、萌果は少し疲れた表情で答えた。
「黒羽くん、実はこのカフェの近くで大きな商業施設ができることになってね……」
それは地元の小さな店にとっては大きな脅威だった。新しくできる商業施設は、多くの人を引き寄せるだろう。その影響で、周囲の個人経営の店は客足が減り、閉店に追い込まれることもあるという話を聞いた。
「そんな……このカフェも影響を受けるかもしれないってことですか?」
「そうなの。お客さんが減ってしまったら、この場所を続けるのが難しくなるかもしれない。でも、どうしたらいいのか……」
萌果の言葉に、大樹は不安を感じた。彼にとって、このカフェは特別な場所であり、失いたくないと強く思っていた。
その日の夕方、カフェのことを知った宮崎が大樹に連絡をしてきた。彼女も最近、このカフェに通うようになり、居心地の良さを感じていたため、何とかしてカフェを守りたいと思っていた。
「黒羽、このカフェをどうにか守れないかな?私たちにできることがあるはずだよ」
宮崎の言葉に、大樹は同意した。高校生にできることは限られているかもしれないが、何かできるはずだと信じていた。
「まずは、このカフェがどれだけ多くの人にとって大切な場所なのかを知ってもらうことから始めよう」
二人はそう決意し、翌日、カフェで萌果と話し合うことにした。
翌日、大樹と宮崎はカフェに集まり、萌果と一緒にアイデアを出し合った。彼らが考えたのは、カフェの魅力を多くの人に伝え、より多くの客を呼び込む方法だった。
「例えば、イベントを開催するのはどうかな?学校の友達にも声をかけて、みんなが楽しめるような催しを企画するんだ」
宮崎が提案すると、大樹も「僕たちでポスターを作って、街中に貼るのもいいかもしれない。カフェの存在をもっとアピールしよう」と応じた。
「確かに、それなら私たちにもできるね。みんなでこのカフェを盛り上げるイベントを開けば、もっと多くの人に来てもらえるかもしれない」
萌果もそのアイデアに賛同し、三人は具体的な計画を立て始めた。
カフェで開催するイベントの内容を決め、ポスターを作り始める三人。宮崎は絵が得意だったため、カフェの雰囲気に合った可愛らしいデザインを考え、大樹はそのポスターを学校や街中に貼るための準備を進めた。
「これで、このカフェがどれだけ素敵な場所か、もっと多くの人に知ってもらえるといいな」
萌果は、二人の協力に感謝しながら、少しずつ自信を取り戻していった。
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