第21話 くじ引き
夏休みが始まって文化祭の準備が少しずつ始まろうとしていた。
「このまま決まらないならクジ引きになるけど?」
僕等は今、文化祭実行委員を決めている。
なかなか実行委員が決まらず先生もイライラしていた。
「もークジでいく」
先生の独断でクジをすることになってしまった。
「まず男子来い!」
先生は強い口調でクラスの男を集めてクジを引かせた。
よし!
あぶねー!
前から実行委員を逃れた人の声が聞こえてくる。
「よし次」
そう言われて僕は箱に手を突っ込む。
僕はどうしても実行委員はやりたくなかった。
なぜなら面倒だから。
ん?
1枚だけ質の違う紙がある。
なんだ?
僕はその紙と他の紙を触って比べていた。
まさかこれがハズレでは?
「おい、早くしろ!」
先生は僕の手を箱から引き抜いた。
僕が手に持っていたのは質感が違う紙ではなく普通の紙だった。
あ、あぶなかった。
僕はそう思い紙を確認する。
そこには『あたり♡』と一言書いてあった。
は?
僕はハズレを引いてしまったらしい。
「よし、男子は御薬袋だ」
「次、女子」
先生は男子から引いた紙を回収してボックスに戻した。
「ちょ、先生!」
僕は先生を説得しようと思っていたが、先生は「あ゙!?」と一言いった。
その後、拓馬が僕を憐れんだ目で見ていた。
僕は諦めた。今の先生は魔王でも逆らえない。
だが、これだけは言わせてくれ
「だから彼氏ができないんだ」
僕は口に出さず心のなかで先生にいった。
「よーし女子もさっさと引けよ」
女子も順序良く引いていく。
「あ!」
『あたり♡』の紙を引いたのは佐藤さんだった。
僕は少し安心した。知っている人は少し安心するから。
拓馬が僕の方を見て羨ましそうにしているのには気づかないふりをした。
「あの、実行委員は良いですがあまり遅くまでは残れないですけどいいですか?」
佐藤さんは先生にいった。
「そうか、佐藤は家が遠いから電車に乗れなくなったら困るか」
「よし、女子はもう一回な」
なにぃ!?
そんなのアリか?
僕はチャンスだと思った。
「せ、先生僕も遅く帰りが遅くなるのはちょっと...」
これで僕は実行委員から外される。
僕は確信したが、
「お前の家はすぐそこだろ」
そうだ、先生はクラスの家を知っているんだ。
僕は静かに自分の席に座った。
拓馬が笑っているのには気づかないふりをした。
「よーし女子はもう一回並べー」
先生が声を掛けた。
「あ、当たった」
今度こそ決定だ。
「お、決まったか」
「じゃあ実行委員は緒方と御薬袋でよろしく」
実行委員は僕と緒方さんになった。
男子達から痛い視線を向けられるが僕は机に伏せて気づかないようにした。
拓馬は再び腹を抱えて笑っていたし、佐藤さんもニコニコしていた。
緒方さんは何やら先生と喋っていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「緒方」
クジを引いた後、私は先生に呼ばれた。
「いつもなら見逃さないが今回は不正を見逃す」
「感謝しろよ〜」
先生はニヤニヤしながら言った。
私は『あたり♡』の紙を小さく折った。
カチッ
音がなり241→240になる。
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