第20話 新学期
僕の夏休みが終わった。
美咲と水族館に行ったし、緒方さん達と旅行にも行った。
去年の夏休みと比べたらとても充実したと言える。
そんな充実した夏休みだったが、1つ問題を抱えたまま新学期を迎えた。
それは緒方さんだ。
沖縄旅行の最終日、僕は2つの問題を抱えていた。
1つは拓馬が振られた事。
もう一つは緒方さんが怒っている事。
正直、拓馬の方は時間が解決してくれると思っていたので僕は緒方さんの方さえ解決できれば良いと思っていたが、実際は拓馬の方が解決をし緒方さんの方は未解決のままで学校が始まってしまった。
どうしたものか?
佐藤さんも僕が悪いと言っていたので僕に非があるのだろう。
しかし、僕はそれがわからなかった。
僕は考えるのをやめたかったが、緒方さんと目が合うたびに思い出してしまう。
僕は始業式の時に考える。
学校が終わり、次の日も。
そして、お昼休みになった。
僕は一人、いつもの体育館裏へと行った。
多分、緒方さんは来ない。
僕は久しぶりの一人のお昼ご飯が少し楽しみだった。
天気は晴れだし、だれも居なくて静かで風も心地よい。
ここまで好条件が揃っているのは久しぶりだ。
僕はその余韻に浸っていた。
「最高だ」
僕はつぶやいた。
「何が最高よ!」
そうツッコんだのは僕が最近悩んでいた事の原因でもある人だった。
「なんで何も言ってこないのよ!」
緒方さんは怒っていた。
「あれから連絡もしてこないし、」
「特に何もなかったし」
「学校でも全然話しかけようとしてこないし、」
「考え事してたからな」
「...」
「...」
沈黙になり、
「私、泣くかも...」
緒方さんが涙目で言ったので僕は焦った。
「いや、連絡しなかったのは緒方さんが怒っていると思って下手にできなかったからで」
「昨日も今日の緒方さんが怒っていた事を考えてたからなかなか話しできなかったんだよ」
僕は久しぶりに早口で言った。
「そうなの?」
「そう」
「だから....ごめん」
僕は謝った。
「それは何に対してかな?」
「えっと全部...」
「全部ってことは私が怒ってた理由が分かったんだ」
緒方さんが痛いとこをついてくる。
「そ、それは」
「それは?」
「正直に言って!」
緒方さんが詰めてくる。
「それはまだわかってません」
「でしょうね」
緒方さんはわかっていたらしい。
分かっていたのに詰めて来るなんて性格悪い。ってことは口には出さなかった。
「はぁ〜」
緒方さんがため息をついた。
「もう良いよ」
「あれは半分私が悪かったから」
「お互い忘れよ」
どうやら、許してくれるみたいだ。
「わかった」
「でも、なんで怒ってたんだ?」
僕はこんなにあっさりと解決するとは思っていなかった。
「今、忘れよって言ったよね」
「うっ......」
緒方さんがまた詰めてくる。
「返事は?」
「はいもしくはわかった以外を言ったら本当に許さないから」
僕は逆らえないとおもって、
「はい」
と一言だけ言ってお弁当を食べた。
緒方さんはさっきの表情とは変わり、いつものように美味しそうにお弁当を食べていた。
カチッ
音がなり244→243になる。
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