第15話 旅行の仲間

今日から2泊3日の沖縄旅行、僕は空港に来ている。


「御薬袋くん!こっち、こっち」


僕は緒方さん達がいるところへ向かう。


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沖縄旅行が当たった後、僕と緒方さんはデパート内にあるカフェに来ていた。


「緒方さん、やっぱり考え直した方が良いって」

「2人で沖縄旅行なんて...」


僕は一度「はい」と了承したものの緒方さんを説得していた。


「そんなに私とは行きたくないわけ?」


緒方さんが少し不機嫌になる。


「いや、そうじゃなくて...」


「せっかく当たった沖縄旅行なのに2人だけは勿体ないって。4人まで行けるんでしょ?」

「しかも、.......」


僕は言えなかった。2人きりで泊まりの旅行は恥ずかしいと。


「しかも、何?」


「な、なんでもないよ」


僕は誤魔化す。


「私が当てたんだから私がどう使おうと勝手でしょ」


「そ、それはそう...」


彼女の言葉には筋が通ってる。

それでも僕は諦めきれなかった。

だが、彼女は外を眺めて目も合わせてくれない。


どうしたものか、そう思っていたら。


「緒方さんじゃん。何してんの?」


誰かに話しかけられる。

ん?この人どこかで見たことあるような気がする。


「橘くんじゃん、久しぶり」


「おう、久しぶり」


たちばな.....橘...........ダメだ思い出せん。


僕は考えるのをやめた。


「御薬袋もいるじゃん、久しぶりだな」


???


久しぶり?


あ!!


体育祭のときに僕に喋りかけて来た人か。


橘って言うんだな。


「うん、久しぶり」


僕は返事をする。


「2人って知り合いだったの?」


緒方さん驚く。


「体育祭の時に喋ったんだ。な!」


「う、うん」


陽キャの圧がしんどい。


「へぇー」


緒方さんが珍しそうにいう。


「2人は何してたんだ?」


「私達は買い物に来てた」


「そうなんだ」


2人が話し始める。


「そういう橘くんは?」


「俺も友達と買い物」

「今、お手洗いにいってるけど...」

「あっ、来た」


そうしてもう1人女の人がきた。


「待たせてごめんね」

「いや待ってないよ」

「今緒方さん達と話してたんだ」


橘くんがそう言った人は、僕の知ってる人だった。


「佐藤さん?」


緒方さんが話しかける。


「久ぶり、緒方さん」


「佐藤さん!久しぶりー」


彼女達はテンションが上がっていた。


「御薬袋くんも久しぶりだね、体育祭ぶりかな?」


「うん」


「「え?」」


橘くんと緒方さんがかぶる。


「2人って知り合いだったの?」


橘くんが佐藤さんに聞く。


「体育祭のときにちょっとね...」


なんだその答え方は。


「へぇーー」


緒方さんがさっきよりも低い声で言った。

今度は僕が緒方さんと目が合わないようにした。


「立ち話もなんだから2人とも座りなよ」


僕は話しを変えるべくそう言う。


「2人はデートなの?」


緒方さんが踏み込んだ質問をする。


「ち、違うよ」

「今日は橘くんに誘われただけ」


佐藤さんが恥ずかしそうに言う。


「そ、そういう2人こそデートなの?」


佐藤さんが同じ質問をした。


「違うよ、私達はただ御薬袋くんの罪滅ぼしで私の買い物に付き合ってもらってるの」

「ね、御薬袋くん」


緒方さんが怖い。


「え、なにがあったの?」


そう聞かれ緒方さんが説明する。



「へぇー」

「そうなんだ、どんまいだな御薬袋」


「うん」


橘くんが同情する。


「さっきだってさ、一緒に旅行に行こうって誘ってるのにずっと断わるんだよね」

「ひどくない?」


それはしょうがないでしょ。未成年の男女の二人っきりで旅行なんて。


「だから、さっき空気が重たそうだったのか」


「そうだよ」


「大変そうだなぁ」


今度は佐藤さんが同情する。


「あっ!」


緒方さんは何か思いつく。


「ねぇ、御薬袋くん」

「御薬袋くんが行きたくない理由って4人までだけど2人でいくのが勿体ないからだよね?」


「うん、まぁそうだけど」


僕はここで緒方さんがこれから発言しようとしている言葉を覚えた。

まさか!


「ちょっと、待っt」


僕が止めようとしたときには遅かった。


「2人とも私達と沖縄いかない?」


そのあとはトントン拍子。


緒方さんが説明して、その場では親の許可が出てからと言うことになり無事3人とも許可が出た。


僕はというと親の許可はすぐおりた。そして僕に拒否権はなく無事に4人とも沖縄旅行が『決定』したのだ。

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