第14話 買い物

次の日、僕はデパートに行った。

昨夜、


『明日のお昼1時にレオンモールに来てね』

『買い物するから』


緒方さんから連絡が来た。


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「おまたせ」

「待った?」


緒方さんが来た。


「待ってないよ」


僕はいつもよりテンションが低い声で言う。


「今日は来てくれてありがとね」


「うん」(あんなのほとんど強制じゃないか)


僕は別の意味の返事をする。


「何か言った?」


彼女は何か感じ取ったらしい。


「なんでもないよ」(女のカンって怖いな)


僕は彼女の怖さを知った。


「今日は服を買いにきたの」


「へ、へ〜」(それって僕とじゃなくても良いんじゃないか?)


今日、僕は彼女の気に触ることは言わないようにしようと思ったが、


「今、「僕とじゃなくても良い」って思ったでしょ」

「君が言いたいことはお見通しだよ」


彼女は超能力者なのか?


「今、超能力者って思ったでしょ」


「え...、流石に怖いよ緒方さん」


僕は引いた。多分これは皆引くと思う。


「君のことなら何でもお見通しだよ」

「なんでもね」


彼女は遠い目をしてそういった。


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「着いた」

「ここ、少し前にオープンしたばかりなの」


ここは僕も知っている。少し前にテレビで見た。


「ここなら、男物の服もあって御薬袋くんも入りやすいでしょ」


「そうかも」


そして僕は彼女とお店に入った。


1時間後、


「ま、まだ服見るの?」


僕は疲れ果てていた。


「まだ見るよ」


僕は最初こそ少し楽しかった。緒方さんはスタイルのビジュアルもいいから何でも似合う。

だが、服ばかりを何度も見ているのは流石に疲れてきた。


「そろそろ、休憩しない?」


僕はダメもとで提案してみる。


「んー、もう少し待って」


やっぱりか。


30分後、


「そろそろ決まりそう?」


僕は結構つかれた。ただのクラスの陰キャが服屋で1時間半は流石に過労死してしまう。


「ねぇ、これとこれどっちがいいと思う?」


僕は緒方さんに聞かれた。


これは、正解のない答えでは?だがここで「どっちでもいい」が一番だめだ。


僕は漫画や小説で培ってきた知恵を振り絞って答えをだす。


「両方いい服だね」

「緒方さんは元がいいからどっちも似合ってるけど」

「僕は右の白いワンピースがいいと思ったかな」


服も彼女も褒めつつしっかりと答えを出す。


完璧だ。そう思ったが、


「そ、そう」


彼女の反応が薄く感じた。


答えは左だったかーーー


僕は二択を外した。


「それじゃ少し休憩ようか」


僕はやっと休憩ができると思った。


「ちょっと待って」


なんで?


「先にもらった商品券でクジを引いてもいい」

「いいよ」


クジくらいならすぐ終わるだろうと思った。


カランッ!カランッ!


「1等が出ましたー」


彼女はあっさり1等を出した。


「おめでとうございます。1等の沖縄旅行二泊三日(別荘付き)です!」


周りの人たちが拍手をする。


「え、まじか」


驚いた。


そして僕はここで嫌な予感がした。


「御薬袋くん」


「はい」


「行くよね?」


「...」


僕は沖縄旅行に誘われた。


でも、返事はしない。


「行くよね?」


彼女の圧がすごい。


「さ、流石に悪いよ」

「家族と行ったら?」

「ほら、これ4名様だし勿体ないよ」


僕は彼女に提案する。


「私の家族お父さんもお母さんも仕事で忙しいと思うから無理だと思う」


「じゃ、じゃぁ友達を誘うとか」


僕は逃げ道を探す。


「御薬袋くんって予定無かったよね」

「行・く・よ・ね???」


「はい」


僕は沖縄に行くことになった。多分『決定』だ。





カチッ


音がなり275→274になる。

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