第11話 勉強会?

体育祭も終わり、すぐに期末テストがやってくる。

みんなが勉強に忙しいなか僕はファミレスに来ている。

数日前、体育祭が終わって学校が始まった日の昼休み。


「御薬袋くんっていつもはどうやって勉強しているの?」


緒方さんはお昼ご飯を頬張りながら僕にそう問いかけてくる。


「普通に勉強してるけど」


「家で?」


「うん」


「一人で?」


「うん」


「友達とは勉強しないの?」


「うん」


すると彼女はなにかに気づいたようでそのあと僕を哀れな目で見てきた。


「僕が友達いなくてかわいそうって言いたいの?」


「いや、かわいそうなんて思ってないよ」

「ただ、寂しくないのかなって」


可哀想って言うのと何が違うんだ?


「別に寂しくないよ。一人のほうが勉強はかどるし」


彼女はまた哀れな目で僕を見た。


「そしたら、可哀想な御薬袋くんのために私が一緒に勉強をしてあげよう」


彼女は自信満々に言う。

というかやっぱり可哀想って思ってたじゃないか。


そのあとは断ったが何度もしつこく誘われたので一度だけ一緒に勉強することにし、今がそ

の最中である。


「わからないとこは聞いてね」

「こう見えて私賢いんだよ」

彼女は実際賢いらしい。成績はいつもトップを維持しているらしい。

成績も良くて、運動もできる。料理もできるし、クラスからの人気は一番と言っても過言ではない。


彼女にできないことはないのか?

僕は少し彼女の弱点が知りたい。


「どうしたの?そんなに私の顔を見て」

「惚れた?」


僕は彼女にからかわれる。


「そんなわけ無いだろ」

「ただ、緒方さんにできないことはなさそうだなって思ってただけ」


僕は正直に答える。ここで嘘をいってバレたときはまたからかわれると思ったから。


「そんなことはないよ」

「私にだってできないことの1つや2つあるよ」


「たとえば?」


僕がそう聞くと彼女は、


「.....」


喋らなくなった。


「やっぱりないじゃん」


「ない...かも?」


僕に聞かれてもわからん。


だがこれで分かったことは、彼女にはできないことはない。すなわち弱点(僕が彼女に勝てる事)がないという事だ。


僕は少し残念に思った。


「私できない事じゃなくて苦手な事ならあるよ」


彼女がそう言う。僕はそれがとても気になる。


「なにが苦手なんだ?」


「虫」


虫か、女の子みたいだな。


「こないだ、おばあちゃん家に行ったとクロビカリGが出てきてびっくりした」


それは僕もにがてかも...


「虫って他には何が苦手なんだ?」


もう少し聞いてみる。


「足が100本あるやつとか、とても臭いやつとか」


それは他の人も苦手なんじゃないかな。


僕は彼女の苦手な虫ってほとんどの人が無理なやつだと気づいた。


期待して損した。やはり彼女に弱点はないようだ。





カチッ


音がなり296→295になる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る