第10話 体育祭【後編】
体育祭の午後の種目が始まる。
初めは二人三脚だ。それと同時に玉入れの招集が行われるので僕は招集場所へ向かった。
「これが玉入れのボールです」
そう言われボールを渡される。
1人5つずつ。
「多いな」
玉入れが苦手な人もいるだろうに5つも渡されたらたまったもんじゃない。
そう思っていると、
「君も玉入れに出るんだな」
いきなり話しかけられる。
僕に話しかけてきたのは同じクラスの人だった。名前はもちろんわからない。
「うん」
僕は苦笑いでそう答える。
「にしてもさっきはすごく目立ってたな。」
さっきとは午前のことであり、目立つとは借り物競争のことだろう。
「そ、そうだね」
陽キャの圧に押される。
「なんだ?緊張してるのか?」
彼は僕の気持ちを全く理解していないらしい。
「大丈夫さ、うちのクラスはスポーツできる人が多いからな」
どんどん話を進めていく彼に僕は返事をするのを辞めることにした。
「でも玉入れはどのクラスも本気で来るから負けないようにな!!」
は?
僕はみんなが思ったよりも本気で驚いた。
「俺もあそこにいる赤羽くんもバスケ部だから頼ってくれてもいいぞ」
とてもいい情報ありがとう。
「うん、ありがとう」
これで玉を適当に投げるだけでもいいとわかった。
「まぁ、君なら大丈夫かもね」
彼がボソッとなにか口にしたが上手く聞き取れなかった。
二人三脚が終わり玉入れがはじまる。
「よーい」
パンッ!
音と同時にみんなが投げ始める。
意外と入ってない。
僕の作戦だと、玉が空を飛び交うなか適当に投げとけばいいと思っていたが、そうもいかないようだ。カゴの近くには女子があつまり男子は外から投げる。だから僕は手持ちのボールを速やかにカゴに入れバレない程度にサボることにした。
ん?
あの子、さっきから遠くに落ちているボールばっかり拾っている。
あの子はとても周りが見えているようだ。
あの子一人では大変そうだな。
仕方ない、手伝うか。
パンッ、パンッ
空砲が二回なる。終わりの合図だ。
そしてボールの数を数える。
ボールの数を数えているとき一人の女の子に話しかけられる。
「さっきはありがとね」
「なんのことだ?」
「ボールと拾ってくれてたの」
「私1人じゃ大変だと思ったから手伝ってくれてたんでしょ?」
気づいていたみたいだ。
「誰かが拾わないといけなかったから...」
「ありがとね」
そう会話をしていると、ボールも数え終わる。結果は、
A組32個、B組29個、C組38個だった。
僕らは2位だ。僕からしたら十分だと思う。
こうして僕の出場する競技は終わり体育祭も終わりへと向かっていった。
「最後の競技は男女混合リレーです。」
これから、最後の競技が始まる。
緒方さんは1走目らしい。
「位置について、よーい」
パンッ!
リレーが始まる。
緒方さんはいいスタートをきった。
一番で帰って来て次の人にバトンを渡す。
そのあと、2走者目も3走者目もスムーズにバトンが渡っていった。
このままいけば『勝てる!』みんながそう思ったとき、
4走者目の人が転んでしまった。
彼はすぐに立ち上がったが後ろも追い上げてきていたので、抜かれてしまった。
5,6走者の人も頑張ったが結果は最下位。
A組は負けた。
そして、今年の体育祭は終わりを迎えた。
カチッ
音がなり303→302になる。
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