第4話 交換

「やっほー」

「昨日ぶり〜」


彼女は上機嫌にそうやって言う。


「ちゃんと作ってきた?」


彼女はなぜか疑っている?僕は今日まで毎日妹のためにお弁当を作ってきているのだぞ!


と、まぁ本音が言えるわけもなく、


「うん、ちゃんと作ってきた」


「そっか、そっか、それは良かった」

「はい、お弁当」


そういいお弁当を渡してくる。


僕も渡す。



「ね、食べてみてよ」


「わかった」

「いただきます」


そう言いお弁当を開ける。


ふりかけがかかったご飯にハンバーグと卵焼きとソーセージ、あとこれは揚げ物かな?それにキュウリとトマトとブロッコリー

おぉ、なかなか美味しそう。僕ははじめに気になった揚げ物を食べてみる。


「うまっ」


とっさにそう口にした。


すると彼女は、


「はぁ~、良かったー」

「上手にできているかわからなかったからドキドキしたよ」


このコロッケは市販のコロッケと違いジャガイモとひき肉で旨味をだしている。ここまで美味しいのは初めてだ。


「ちなみにお弁当はどんなおかずが好きなの?」


そう聞かれ僕は、


「無難にハンバーグと卵焼きかな」


「そうなの!?」


なぜ驚いている?


「それはよかったけど」


「けど?」


「私昨日のお弁当ハンバーグと卵焼き取ったよね?」


「そういえば、そうだな」


「ご、ごめんなさい」


「別にいいよ」

「それはさておき僕のお弁当はどう?」


少し気まずい雰囲気を変える。


「おいしいよ」

「この春巻きとかどうやって作っているのか知りたいくらい」


「それはよかった」


「ねぇ、昨日もそうだったけど卵焼きって出汁派なの?」


「そうだよ」


そういえばこの弁当の卵焼きは砂糖だな


「ごめん、私が作ったのって砂糖だったよね?」


「そうだったよ、久しぶりの甘い卵焼きも美味しかったよ」


「そ、それならよかった」


「明日からは出汁で作ってくるね」


彼女はとても気配りができるらしい。


「そういう緒方さんは砂糖派?」


「そうだよ」


彼女が僕に合わせてくれるなら僕だけ合わさないわけにはいかない。


「そしたら僕も明日から砂糖で卵焼きを作るね」


「ありがとう」


この時の彼女はとても嬉しそうだった。





カチッ

音がなり361→360になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る