第12話
「どうやら、あそこが集会所のようですね」
「良かった。まだ、敵は中に入れてないみたい」
集会所の周囲を敵兵が取り囲んでいるものの、出入口は固く閉ざされ、まだ彼らの侵入を許していないようだった。
私は、ホッと胸をなでおろした。
「しかし、
「何が?」
「彼らがこの東の領地にいる事です」
「そうなの?」
「状況も
カミールは、そう言いながら、枝を一本拾うと、地面に図を描きながら、この国のあらましを説明し始めた。
*
彼等の住むこの島は、
そして、この島は、空から星が落ちた時に出来た大地と言われており、円形の
つまり、そのような地形であるこの土地は、自然の
しかし、七人の英雄により魔王が討伐され、
この国は、五つの領地で構成されている。この島の中央には、王都を有する『
北側の領地は、一年の
この島は、四方を海に囲まれてはいるが、冬の期間、北の海が
アーサー達が住むこの領地は、王国の東側に位置している。
『北の
カミールが疑問に感じたのは、この点である。『北の
*
「しかし、こんな事になるのであれば、アーサー様の暗殺説についても、もう少し調査しておくべきでした。あれが、事件だとしたら、暗殺事件と北の蛮族の侵攻。北の領主と
「何ともきな
「アーサー様、お言葉が――」
「あっ。何ともきな
――考え事をしていると、つい、元の口調が
私は、ため息を一つ吐いた。
「お言葉の方は、
「分かった……よ。あれ?」
私は、彼らが大きな丸太を持ち出し、何かをしようとしている事に気付いた。
「あれ、もしかして、扉を破ろうとしているのでは……」
「その通りです」
「じゃあ、ピンチなんじゃ――」
「いえ、私は、この時を待っていました」
「えっ?」
私は、彼の言っている意味が分からず、首を
「両手が
「出来るの?」
「
「では、お願い。中の人々を救って」
「お
カミールは、そう言うと、片手を胸に当て頭を下げた。
「何だか……
「まさか。貴女のお役に立てるのが
「そ、そうなんだ……」
私は、想定外の回答に言葉を
もしかしたら、顔も赤らめていたかもしれない。
「あっ、あと……」
「何でしょう?」
「なるべく殺さないようにして戦える?」
「彼らは、この村を
「だとしてもです」
「貴女は、お優しいのですね」
「人の死が見たくないだけ――。もしかしたら、罪から
「やはり、貴女はお優しい」
カミールは、少しだけ笑顔を見せていた。
私には、その笑顔が
「では、
「お願い」
「では――」
カミールは、再び頭を下げると、
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