第4話
私は、順調に回復し、身の回りの事は、
歯を
鏡には、
「私の年齢通りのおじさんに転生しなかっただけましか」
鏡の中の可愛らしい私は、
――数週間後――
私は、『アーサー』である事にも
それから、この少年が魔法の才能に恵まれている事も分かってきた。しかも、この『アーサー』という少年の魔力は、最上級レベルに達するものであった。特に彼の母親は、魔力に恵まれた家系であり、その
魔法――アニメや漫画でしか見た事のないアレだ。
この世界の魔法には、四つの系統が存在する。
女神エリアルの
『アーサー』は、この四つの系統全てを
それを知った私は、非常に
異世界転生にチート能力――
そんなこんなで、ヲタク心をくすぐられた私は、色々な魔法を次から次へと試しまくった。
それはもう、
カミールやセドリックには、しょっちゅう怒られていた。
使用人達からも
それでも私の
それほど、楽しかったのだ。
この体のお
しかし、私は、魔法の事を考えるあまり、大きな事を見逃していた。
*
それは、皆で夕食を
私は、カミールとセドリックが
それはまるで、見知らぬ人と相席をしているような感覚だった。
いや、私は、何を考えているのだ。彼らと私の間には、何の関係性も元々無かったではないか――私の胸は、
その日以降、私は、彼らの視線を気にせずには、いられなくなった。
セドリックは、明らかに私と距離を置いていた。
カミールは、普通に接してくれているようには見えていたが、たまに、視線が合うと
視線を
そんなある日、事件は起こった。
屋敷の庭先でツインテールの小さな女の子がほうき持って掃除をしているのが見えた。
私は、孤独を感じていたのだろう。話し相手になってもらおうと彼女に
次の瞬間――。
気付けば、
私は、この時、何が起こったのか分からなかった。
「おい、貴様! 何をする」
カミールがこちらに
「背後から急に触られた」
メイドの少女がぶっきらぼうに答える。
私は、その時、やっと状況を理解した。彼女に腕を
「アーサー様に何をしたのか分かっているのか!」
カミールが少女の
私は、立ち上がり、二人の間に割って入った。
「カミールさん、落ち着いて下さい。女の子にいきなり触ってしまったんです。悪いのは、わた――いや、僕の方なんです」
「しかし、貴女を投げたのです。もし、
「カミールさん。私をしっかり見て下さい。ほら、
「ですが、彼女は、使用人です。アーサー様に
「だとしてもです。見て下さい。まだ、
「…………」
「ごめんね。
「別に、大丈夫」
「貴女、名前は何ていうの?」
「パトリシア」
彼女がぶっきらぼうに答える。
「もう仕事に戻って良い?」
「えっ? ああ、どうぞ」
彼女は、
私が男の人に
――変わった子だな。
その時の私は、その程度の認識しかなかった。
「すみませんでした。確かに冷静さを
「どうしちゃったんですか? 少しビックリしちゃいました。カミールさんらしくありませんよ」
「驚かせてしまって、本当に申し訳ありませんでした」
「いえ」
「でも、カミールさん、本当にどうしちゃったんですか?」
「私は、貴女の従者ですので、
「あっ、すみま――、じゃなくって、ごめん」
彼は、また、私から視線を
「で、何があったの?」
「それは……」
彼は、少し言いづらそうに
「それは……。もし……、もし、またアーサー様に何かあったらと……。そう考えると、自分を
この時、やっと、私は彼の気持ちに気付く事が出来た。
彼は、深く傷付いているのだ。だから、あんなにも過剰に反応してしまった……。
そう考えると、これ以上どんな言葉を掛けたら良いのか――私には、分からなくなってしまった。
――でも、このままじゃいけない。
私は、ここにきて
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