第2話
次に私が目覚めたのは、白を基調とした何とも上品な部屋――そこにある大きく豪華なベッドの上だった。
「知らない天井だ」
ヲタクなら、一度は言ってみたい
ベッドの横には、私の手を
彼は
――私をこんな風に優しく
そんな事を考えると少し幸せな気持ちになれた。
窓からは、優しい光と
ここでの季節が、どうなっているのか……それは、私には知る
めくれたカーテンの
まるで私のようだと少し
上半身を起こし、右手首の方に視線を向けると
大した傷ではなかったのか、痛みは無い。
――この人は、どうして手首を切ったのだろう?
まだ、ふわふわとしている頭の中でそんな事を考えていた。
「アーサー様、お気付きになられましたか?」
私は、右手から視線を
私がボーっと手首を
――やはり、この人は美しい。
私は、思わず
「どうかなさいましたか?」
「いえ、あの……」
私は思わず視線を
すると、その視線の先に彼の手が見えた。
――私の左手をまだ
彼は、
そう考えると、何故か、少し胸がキュンと
先に口を開いたのは、彼の方だった。
「貴方は、アーサー様ではありませんね……」
「えっ?」
私の
「私は、《人形》なのです」
「《人形》?」
「《人形》をご
私は、無言で
彼は、《人形》について、
*
《人形》
それは、一種のゴーレムのような存在であるらしい。ただ、その性質は、全く
更にゴーレムが、常に命令を出して動く
《人形》の
また、《人形》の構造には
ある者は、悪魔や精霊の
だが、実際のところ、何も解明されていないらしい。
*
「《人形》と主人の間では、契約が結ばれます。これは、絶対的なもので
「それで貴方は、私が別人であると……」
「はい。その通りです」
ガタンッ!
突然、
「それは、本当なのかっ!」
「立ち聞きをしていたのですか?」
部屋の入口の方を見ると、
同時に目を引いたのは、左の顔を
彼もまた、顔の半分を
更に
「お前が話していた通り、本当にこの者はアーサー様ではないのか」
「残念ながら……」
「では、誰なのだ」
「それは、私にも……」
二人の会話は続いていたが、私は、どうにも
「あの、すみません。ちょっとお手洗いに……」
「ああ、そうですか。では、私が支えて――」
「えっ! はぁ? ひ、一人で行けますよ。ば、場所だけ教えて下さい」
「この部屋のあちらのドアが浴室とトイレになっています」
「あ、ありがとうございます」
――部屋に浴室とトイレが付いてるんだ~。何とも
私は、くだらない事を考えながらも、ふらふらと立ち上がり、
「一人で行かせて大丈夫なのか? もし、逃げられでもしたら――」
「あの体では、逃げ出したりは出来ませんよ。それに悪い人には見えません」
「確かに悪人ではなさそうだが、
「それは
「しかし……」
私は、彼らの話を聞かなかった事にして浴室へと逃げ込んだ。
浴室には、
私が血まみれで
私は、ズボンを下ろし、
「イヤーーーーーーッ!」
私は、思わず大声を上げた。
「どうかなさいましたか!」
ドアの外から彼が声を掛けてくる。
「だ、大丈夫です。ちょっと転びそうになって」
私は、
――
意味が分からなかった。
父親のモノ以外で初めて生で見る
いや、二次元の薄い本では、もっと
とは言え、自身の体に
その
私は、男の子になっていたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます