第6話 紙の翼を持っていた夢
変わろう。
先輩の研究を完璧に理解するために…
「おい、大丈夫か?最近様子が変だぞ。」
「問題ないよ。ただ、先輩に届かないと…」
ただただ、先輩の事を考えて行動した。
「生徒会長には僕がなる。」
「俺も、生徒会長にならないといけないんだ。」
セードにも僕と同じような理由があるのかもしれない。
でも、譲れない。
「職員会議により生徒会長はシーズセン・スルクルス君に決定しました。」
いつの間にか、僕とセードは仲が悪くなっていた。
「あいつが生徒会長だなんておかしいでしょ!!俺のほうがずっと成績は上で…」
「そう言うところだよ。」
「やばい、忘れ物…」
「あいつが生徒会長になったせいで俺は騎士団への入団条件を満たせなかった!!あいつのせいで…」
結局、愛って何なんだろうな…
愛は他者の幸せを願うものだが、たまにはそれを捨てないといけないときがある。
「〔勝者、シーズセン選手!!選抜戦突破です!!覇王決定戦への出場が確定となります!!〕」
あぁ、もう一度マリ先輩に会いたい。
愛とは何か、先輩から直接…
「覇王決定戦への出場おめでとうございます!!今の感想を教えてください!!」
「正直、嬉しいです。ただ、まだ終わったわけではないので、まだまだ肩の力は抜かないようにします。」
そうだ、まだ、先輩の夢には手が届いていない。
毎日毎日、先輩のノートを見返す。
先輩の字は読みやすいな…
この字を見るたび、脳裏に先輩の姿が映り、涙を流す。
あの時、先輩の横にいれば…
後悔しても仕方がない。今は進まないと…
「〔勝者!!冒険者養成学校3年、期待の新星、シーズセン・スルクルス!!16人目の覇王の誕生です!!〕」
「シーズさん、覇王になって一番に会いたいのは誰ですか?」
「僕に、戦い方を教えてくれた人にもう一度会いたいです…」
「では、どんなことを伝えたいですか?」
先輩に伝えたいこと…
「そうですね~、先輩、夢、叶えましたよ。って、本人の目の前で、直接言いたいです。」
「素敵ですね!!」
周りには明るく振舞えても、心の中ではずっと先輩の事を思い出し、泣きそうになる。
これも愛なのだろうか…
先輩の幸せを願っていた。
でも、叶わなかった。
天国では幸せにしているだろうか…
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