第1話 この日から

 今から2年とちょっと前、僕は冒険者養成学校に入学した。


「シーズセン・スルクルスです!!職業は一応“アーチャー(弓使い)”です。あまり成績は良くないですがよろしくお願いします!!」


 入学式の翌日、自己紹介の時間が設けられた。


 そして“一番ハキハキ喋れていた”という理由で学級委員長にさせられた


 自己紹介が終わって休み時間になったらみんなそれぞれいろんな人に話しかけに行った。


 ただ僕は人と1対1で話すのが苦手だったから自分の席で大人しく寝ることにした。


 決して寝たふりをしていたわけではない。


「確か名前、シーズセンだよな、俺はセード・スロイタだ。」


 1人、寝ていたにも関わらず、話しかけに来たやつがいた。


「あぁ、よろしく。」


 それからというもの、学校ではほとんど常にセードと行動していた。


 セードと出会ってから1カ月ぐらいの時、一緒にギルドの訓練用クエストを受けた。


 内容は「プレーンドラゴンの討伐」馬鹿な僕は最高難易度のクエストを持ってきてしまったのだ。


 近距離特化のセードと、遠距離特化の僕ならいけると思ったのだ。


「シーズ!!何でこんなの持ってきたんだ!!」


「いや、マジでごめん!!こんなにヤバイクエストだなんて思わなかったんだ!!」


 僕とセードがドラゴンに食われそうになった時、突然細長い槍がドラゴンの脳天を貫いた。


「大丈夫!?」


 その槍を投げたのは黒髪碧眼で髪型はストレートショートのウルフカットの女の人だった。


 服装は第一ボタンを外した半袖ワイシャツに青いネクタイ、下は膝までのチェック柄のスカートを穿いている。


「あ、ありがとうございます…」


「大丈夫、気にしないで!!じゃあね!!」


 薄いクマがある目でニコッと笑い、その人は颯爽と消えてしまった。


 それからまた1週間、その出来事があったことを忘れかけていたころ…


 僕たちは困っていた。


「どうしよう!!期末まであと1週間きったぞ!!」


「まあ、俺なら余裕だけどな。」


 訂正しよう。僕は困っていた。


 学期末冒険者実技試験がっきまつぼうけんしゃじつぎしけん


 冒険者養成学校にしかない試験制度だ。


 この試験で1学期の成績が決まってしまう。


 なのに僕たちはノー勉だった。


「つーかまーえた!!」


 突然、聞き覚えのある女の人の声と同時にグイッと腕を掴まれる。


「!?!?!?」


「ねえ、武器と魔法の研究、やってみない?」

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