第一章【2】
【二】
子供の頃は姉が夢だった。
姉さんのように強く、かっこよく、人を助ける魔法少女。
力がある。それだけでも憧れたり得るが、姉は人格も完備していた。
血が繋がっている両親は、そんな姉を溺愛し、常に彼女のことを思考の中心に置いていた。
それに影響を受けた真田剛毅にとっても、姉は自慢だった。。
だが、子供の気持ちと社会の目は残酷にすれ違うものだ。
一人でお使いに行くと、街頭テレビに姉が映った。
悪い奴をやっつけて、人を助ける。テレビの前で、弟はいつも姉を応援していて、だから街頭テレビでもそれを見られて嬉しかったと思う。
――――あの言葉を聞くまでは。
「うっへえーーーー。マジエロすぎシコ過ぎっしょぉーー」
「人助けより、もっとケツと乳を見せてほしいよなあーーーーーーー」
今は理解している。
あの言葉に深い意味はなく、悪気もない。
ただ、彼はぼんやりとだが、思った。
”美しい”・”可愛い”はカッコいいの対極なのだと。
そして、外見が可憐というのは、それだけで無条件に見くびられる要素になるのだ。
姉は毎日、敵を倒し続けている中で、置いていかれる側の少年は自然と。
「僕はあんな風になりたくないな」
姉のことは尊敬し、愛し、憧れている。
けれども、魔法少女が可愛い、というのだけはNOだ。
なるなら、そうだ、もっと――
姉すら見上げるような、そんなものに。
彼が、今の彼になろうと思った、キッカケがこれだった。
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