ゴールデンウィーク 8-3
陽菜はお粥が入ったお皿をトレイに乗せ、ベット近くにあったテーブルに置く。
「あ、ありがとう」
橘凜は一言お礼を言い、トレイを自分の近くまでよせ、スプーンで掬いそれを口に運ぼうとしたが...。
「私が食べさせてあげる」
そんなことを言われると思ってなかったのか、目を見開き困惑の表情を浮かべていた。
「あ、いや、大丈夫だから」
そう言うが聞いていないのか、なおも続ける。
「だめだよ、病人なんだから安静にしないと」
そう言うと食べやすい量をスプーンに掬い冷ましてから橘凜の口に運ぶ。
橘凜は困惑していたがやがて諦めたのか口を開きそれを食べる。
「どう、食べれそう?」
「うん、おいしい」
「よかった~」
2人のやりとりをなんだか見てはいけないような物を見ている気がして、天井に目を向ける。
少しして食べ終えたのかトレイを持っていくと言うので、代わりに持って行くことに。
ーーー
「じゃあ私帰るね」
「うん、今日はありがとう」
「あ、ありがとう」
「お大事に~」
そう言い静かに音を立てないよう家を出た。
こうして静かになった部屋で2人になる。
「横になった方がいいんじゃないですか」
「うん」
そう言うと素直に横になり寝る前に薬を呑み眠りにつくまでそばにいようと、俺も腰を下ろす。
時計の秒針の音が微かに聞こえ、ハッとする。
どうやら俺も寝てしまったらしい。
時計を見ると17時になろうかという時間。
「あ、おきた」
「ご、ごめんなさい」
謝罪し、声が大きかったかと慌てて口を塞ぐ。
「大丈夫だよ」
申し訳ないと思い、橘凜の表情を見ると薬が効いているのか、朝よりだいぶ顔色が良くなっていた。
薬だけで無く陽菜の作ってくれたお粥も良かったのだろうと内心感謝する。
――
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