ゴールデンウィーク 8-2

  両親が空港に向かい家には俺と橘凜の2人だけとなった。

 橘凜はいつの間にか自分の部屋に戻っていた。


 俺はスーパーに行き、ポカリやゼリー、熱さまシートなど必要になりそうな物を携帯で調べながら買い物カゴに入れていく。


「あれ、なおくん?」

 声に反応し、そちらに視線を向けると陽菜がゆっくりこちらに歩いてくる。


「どうしたの?珍しいね」

「ああ、実は橘さんが熱だして」

「そうなんだ、大変だね」

「うん、陽菜も買い物?」

「うん。お母さんに頼まれちゃって」

「そっか」

 短く答えその場を離れようとしたが、話が終わっていないのかなおも聞いてくる。


「橘さんの看病ってなおくんがするの?」

「うん、両親が今旅行に行ってて」

「そうなんだ、なら私お粥作ってあげる!」

 なんだか顔つきが変わった気がするがさすがに申し訳ないので断りを入れる。


「いや、大丈夫だよ、なんとかする」

「ダメだよ、なおくんに任せたら余計に体調が悪化するかもしれないから!」


 凄く失礼な事を言われた気がしたが否定は出来ないので心の中に留める。

 それに陽菜なら料理の腕も確かなので俺が作るより余程安心出来る。


「お願いしてもいいか」

「うん、まかせて!」

 自信満々な表情を浮かべている陽菜と買い物を済ませ早速家に戻る。

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「台所借りるね」

「うん。自由に使って」


 陽菜は家につくなり早々に準備に取りかかりお粥を作り出す。

 俺はその間に橘凜の部屋に行き、買ってきたポカリやゼリー熱さまシートなどを渡す。


「なんかあったら呼んでください」

「うん、ありがとう」


 長居するわけにはいかずそれだけ伝え、部屋を後にする。

「誰か来てるの?」

 ドアノブに手をかけた所で問われる。


「買い物に行ったとき、陽菜に会って会話の流れで橘さんが熱を出してること話したらお粥作るって家まで来てくれました」

「そっか...」

 「おまたせ~」

 話している間に出来たらしく、明るい声が部屋に響く。

 ――

 

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