嫌がらせ 6-2
「あぶない!」
実験中クラスの女子生徒の声が科学室に響く。
「あ、ごめ~ん」
見ると大原さんが移動前と同じような感じで謝罪した。
「大原さん今のは危ないよ」
「え、なに。謝ったじゃん」
注意した女子生徒は大原さんの威圧的ともとれる態度に萎縮し、なにも言えなくなる。
「私は大丈夫だから」
そう言う橘凜の表情は曇っていた。
授業が終わり皆それぞれ教室に戻って行く途中。
「私見てたんだけど、火の付いたマッチを持った大原さんが体勢を崩して、橘さんにぶつかりそうになってたよ」
「えー危ないね」
「うん。なんかわざとぽかったんだよね」
「まじ!?」
「最近橘さんに対してあたり強いよね大原さん」
「たしかに」
そんな会話が聞こえてくる。
女子2人の話が本当かは分からないが、火の付いたマッチを持ってぶつかったのがわざとなら大問題だろう。幸いケガもなかったらしいが一歩間違えれば、怪我で済む話ではなくなってくる。
それに本人は謝罪したからいいだろうと思ってるが教室や、科学室のあの態度が謝罪している人の態度と言えるのだろうか。
一抹の疑問と不安をかかえ教室に向かう。
放課後になり帰宅する物、部活に行く物でバラバラになっていく中。
「あ、ごめ~ん」
またしても大原さんが通る際、橘凜の机にぶつかってしまう。
「ううん、大丈夫」
幸い筆記用具や教科書は机の上になかったので床に落ちる物は何もなかった。
大原さんは謝罪した後何気ない顔で、教室を後にする。
「あの、大丈夫ですか」
「なにが」
誰もいなくなるのを確認して訪ねるが放っておいてほしいのか、言葉に棘があるのを感じる。
これ以上は良くないと思い気持ち足早に教室を後にし、先に家に帰ることに。
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