変化 4-4
家に帰り、それぞれ自分の部屋に入ろうとした別れ際。
「ちょっといいですか?」
?マークを浮かべこちらの言葉を待つ橘凜。
下校中や掃除のゴミ出しなど聞く機会はいくらでもあったがこのタイミングになってしまった。
自分のためでなく人のため。
聞いてくれと頼まれたから聞くだけ。
それだけなのに中々言葉がでてこない。
「何、どうかした?」
呼び止めておいて何も言ってこないことに、しびれを切らしたのか催促する。
「橘さんって好きな人いる?」
「急にどうしたの」
「いや、どうなのかなーって」
「誰かに聞くように言われた?」
(するどいなー)
しかし名前をだす訳にもいかずいたって、平常心を保ちつつ会話を続ける。
「そうじゃないけど、転校して少し経つしそういう風に思える人もいるんじゃないかなと思って」
顎に右手人差し指をおいて考える仕草を見せ、少しして。
「いないかな。...でも」
「でも?」
「なんでもない」
そう言って自室に戻ってしまった。
「でも」の部分をもう少し聞きたかったが執拗に聞いて、機嫌を損ねてもしかたないので諦めて俺も自室に戻る。
ベットに仰向けになり今日聞いたことを田中君に報告しなければいけないがまずは橘凜に好きな人がいないことにホット胸をおろす。
(いやいや、なんで安心してるんだ。おかしいだろ)
しかしもう少し聞き方を考えた方がいいな、今のはあまりにも直球すぎた。
普段人と関わらず会話もしないからこういう時にボロがでてしまう。
少しずつ改善していこう。
自分の中で反省と少しの目標を立て、寝るまでの時間を過ごし1日が終わり、また新しい1日が始まる。
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