変化 4-3

 陽菜とわかれて教室に戻っていると田中君に会う。

「お、ちょうどいいところに。あの件どうなった」


 あの件。橘凜に好きな人がいるかどうか、聞いておいてほしいと頼まれた事。 

 すっかり忘れていた。どう言い訳しようか逡巡していると。


~キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン~

 本鈴を知らせるチャイムが鳴る。


「あ、教室戻らなきゃ」

「あ、おい」


 田中君の制止を聞かず足早にその場を離れ、教室に入り自分の席に着く。

 席についたもののしばらく田中君がこちらをみていてなんだか居たたまれない気持ちになった。


「なにかしたの」

「いやー...」


 田中君の視線に気づいた橘凜が聞いてくるがなにも言えなかった。

 その日は結局なにも聞けず放課後を迎えた。

 ――

 放課後。ほとんどの生徒が帰るなり部活に行くなりしていく中教室には俺、橘凜。あと二人、計四人の生徒は残っていた。


「じゃあ僕、黒板やるから」

「私は机運ぶね」

「私も手伝う」


 先生によってランダムに決められた俺達4人は教室の掃除をしていた。

 めんどくさかったが4人で役割を決めやっていたので、想定より時間はかからずスムーズに終わらす事が出来た。


 最後はゴミ出しを残すのみとなった。

 「俺いってくるよ」


 誰が出しにいくか微妙な空気が流れていたがここまでスムーズに終わらせたのにここで時間を食っていてはもったいないと、声をあげ教室のゴミをまとめゴミ置き場へ持って行く。


「私も行く」

 ゴミは大きくわけて2つで、それほど重たくなかったので両方持って行って良かったが断る前に橘凜が1つ持って先に歩いて行く。


 その間、特に会話もなくゴミを捨て教室に戻ってくると残った2人はすでにいなかった。


「俺達も帰りましょうか」

「うん」

 ――

 

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