変化 4-2

一瞬、訝しんだが仕方ないと受け取り食べ進めて行く。

「...おいしい」


 正直パンでだいぶお腹は膨れていたので食べれるか不安だったがこのおいしさなら問題なく食べれそうだ。


「ほんと!これ私が作ったんだ。えへへ、やった」

 陽菜は満面の笑みを浮かべこちらを見ていて、その表情に胸が熱くなった気がした。


「そういえば前もこんなことあったよね、お母さん達と近所の公園に行ってお弁当食べたの覚えてる?」

「いや、どうだったかな」


 覚えているがさっきの陽菜の表情が頭をよぎりつい、とぼけてしまう。

 昔から陽菜は嬉しいことや楽しいことは今みたいに人目をはばからず無邪気な笑顔を向ける子だったのを思い出す。


 「なおくん、いつもパンなの?」

「だいたいそうかな」

「それじゃあ、体に悪いよ。明日お弁当作ってきてあげる!」

「いや、大丈夫」


 意気揚々と言うのにたいし、スパッと断る。

「なんでよ!!」


 断られるとは思っていなかったのか信じられないといった表情で屋上いっぱいに陽菜の声が響く。


 「母さんに頼めばたぶん作ってくれるから」

「だめだよ。京香おばさんだって忙しいんだから」


 確かに最近は何かとバタバタしているような。

「んーでもな、それだと陽菜が大変じゃないか?」

 「大丈夫!一個も二個もたいして変わらないから」


 そう言って右手親指を立て満面を笑顔を向けてくる。

 こうなってはこれ以上何を言ってもダメそうなので従っておくことに。


「おかず、入れてほしいのある?」

「...たまごやき」

 「わかった!」


 単純に卵焼きが好きというのもあるが先程食べた陽菜の卵焼きがおいしっかのでそう答える。

 陽菜は返事をし、「私、先戻るから」と屋上を後にした。

 ――

 

 

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