幼馴染み 3-6

「あれ、こんにちは?」

 帰って来たときから気づいてはいただろうが気持ちを切り替えるように陽菜は俺の後ろにいた橘凜に声をかけた。


 橘凜は自分に声をかけられると思っていなかったのかビクッと肩を揺らしたがそれを悟られないように凜とした声で、挨拶をした。


「こんにちは」

「放課後のこの時間に家に女の子を招くなんてもしかしてなおくんの彼女!?」

「違う」


 なんとなくそんな風に言うと思っていたが案の定だったのですぐ否定する。

 あまり話さない方が良いと思ったがこのまま勘違いされたままでは良くないと思い二人の事を話すことに。


 ――

「なるほど~京香おばさんが再婚したと」

 ふむふむと納得したように頭を上下させる陽菜。


「そういうことで付き合ってるとかではないから」

 納得はしただろうが念をおして言う。

「あ、あとこのことは」

「分かってる」


 全部言う前にかぶせ気味に言ってくる陽菜。

 「じゃあ、なおくんまた学校で、凜ちゃんも」

 凜は手を上げてそれに応える。

 俺は何も言わずに玄関を開け今度こそ家に入った。

 入る直前「また話しかけてもいいよね!?」と言っていたが立ち止まることはしなかった。

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