幼馴染み 3-3
着替えて体育館に行くと数人の男子生徒がバスケをして遊んでいた。
そこには田中君の姿があり、体育館に設置されたベンチには橘凜の姿があり数人の女子とお話をしているのが分かった。
「そういうことか」
たんにバスケを楽しんでいる可能性もあるが、橘凜に良いところを見せたいという俺の予想は外れてないはず。現にバスケをしている最中もボールを追いながら時折、チラチラ視線を向けているから。
そうこうしていると本鈴が鳴り、がたいのいい、いかにも体育会系の先生が入ってきてそれを合図に号令をし授業が始まる。
まずは準備運動ということで二人一組を作るのだが特に決まりもないため皆好きにペアを組み準備運動をはじめていく。しかたないと思い先生に声をかけようとしたとき、後ろから声がかかる。
「ペア組もうぜ」
見ると田中君が立っていた。
「いつも組んでる山田君は?」
「体調不良で今日は休みだ、担任の先生も朝話してたろ」
(そうなんだ、全然聞いてなかった)
しかしなぜ俺なのだろう、田中君ならいくらでも相手はいるだろうに。
考えても仕方ないので田中君とペアを組み、体をほぐしていく。特に話すことがないので黙々と柔軟をしていると。
「橘さんって好きな人いるのかな」
聞こえてはいたが俺に話しかけたのか、単なる一人ごとなのか分からなかったので気にせず柔軟を続ける。
「おい、聞いてるのか」
「え?」
どうやら俺に聞いていたらしい。怒らすとまずいと思いとっさに。
「どうだろうね、聞いてみたら?」
「そんなこと聞いたら気持ちがばれるだろ!」
「そ、そっか」
曖昧な返事をしてしまう。
「お前が聞いてくれ」
ピー。笛が鳴り、そちらに意識を向ける。どうやら話しているうちに準備運動の時間が終わったらしい。
「早速だが試合をしよう」
その場で先生の話を聞いていると今日は基礎的なことはせずいきなり試合をするらしい。
ここでも好きなように五人組を作り、それを何組かでローテーションするらしくさっそく俺の出番がきた。
チームにはペアを組んだ田中君がいる。
田中君がいるので特に出番はないだろうと先程「お前が聞いてくれ」と言われたことについて考えることに。
俺が聞いても変に思われるだろうし、「誰かに聞くように言われた?」なんて言われて「田中君に」なんて言えるはずもないし、うまく聞く方法はないだろうか。試合そっちのけで考えていると、「バン!!」鈍い音が体育館に響くと同時に俺の鼻に激痛がはしる。勢いよく当たった衝撃で倒れ込む。体育館に響いた衝撃音で男子はもちろん隣でバレーをしていた女子も何事かとこちらをみているそこには橘凜も。
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