転校 2-3
それからは保健室、体育館、グラウンド、図書室、音楽室、科学室。思いつく所は全て案内をした。
「だいたいこんな感じかな、一通り案内出来たと思います。なんか気になることありますか?」
「屋上って行けるの?」
「行ってみますか?」
「うん」
質問に質問で返したが特に気にした様子はなく二人で屋上へ。
屋上まで人気の少なくなった校舎を歩いているとまるで二人しかいないような錯覚に陥る。
グラウンドで部活をしている声や体育館で部活をしている声は聞こえてくるがそんなのは些細なことだった。
言葉は交わさず静かに屋上へと足を進める。
不思議とこの静けさが酷く心地いい。
――
屋上の扉を開くと風が一気に押し寄せてくる。
その風に彼女の黒髪がなびく。
髪をおさえつつ彼女が言う。
「こんな景色が綺麗に見える場所があるんだね」
放課後の屋上は初めて来たが確かに綺麗だった。
「あ、もしかしてお昼休みここにいた?」
「はい、だいたいここで過ごしてます。」
「そっか」
何かを察したように短く答える橘凜。
「遅くなったし帰りましょう。」
「うん」
――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます