転校2-2

 そんなこんなで主に男子生徒から妬み、恨みを含んだ視線を向けられた授業は終わり休み時間に入った。

 終わる直後先生が「隣の人が学校の案内をしてあげて」とまたも妬まれそうなことを言い教室を後にした。


 先生が教室をあとにした直後我先にと橘凜の所に来て色々と聞きたいのだろうクラスメイトが集まってきた。

 それは端から見ると電柱などの光に群がる虫のようだった。

 そんなことを口に出せばどうなるか想像もしたくなかったので人の波に流されるように教室を後にした。


「この分だと俺は学校の案内しなくても大丈夫そうだな」

 ちょうどお昼休みということもあり購買で昼食のパンを買い、いつもの場所に行き一息つく。


友達がいない俺にとってここ屋上は唯一心落ち着かせる場所。

 屋上は教室から距離もあるためほとんどの生徒は食堂や中庭、教室で食事をとるため屋上には人がこない。


 それをいいことに昼休みが終わるギリギリまで昼寝をし、気分をリフレッシュし、午後の授業をうける。

 これが友達のいない俺の過ごし方。

 ――

 癒やしの時間はあっという間にすぎ、つまらない午後の授業は終わり放課後を迎える。

「橘さん、歓迎会も兼ねてみんなでカラオケに行かない?」

 帰り支度をしている横で誘いの言葉を口にするクラスの女生徒。

「ごめん、まだ家の用事があるから」


 申し訳なさそうに断りを入れる橘凜。女生徒も断られるとは思っていなかったのか落胆の表情を浮かべ待っていた数人の友達の所に戻っていった。

「良かったんですか?」

 あくまで橘凜にだけ聞こえるぐらいの声量で訪ねる。

「いいの、それよりいつになったら学校案内してくれるの?」

「はい??」

 思わず素っ頓狂な声が出る。


 みると不機嫌というか怒っているようにもみえる表情を浮かべこちらを見ている。

 「いや、あれだけ人に囲まれてたからもう案内してもらったかと思って」

 言い訳に聞こえるかもしれないが素直に思っていた事を口にする。

「とにかくまだだからよろしく」

 納得のいってない表情を浮かべながらも案内を促される。

「じゃあ行きましょうか」

「うん、よろしく」

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