再婚 1-3

翌日、朝目覚めるとバタバタしている母の姿があった。またなにかあるのかと聞くと「家の掃除」そう短く答えると間髪入れずに「あんたも自分の部屋の掃除しなさいよ、ついでに隣の部屋も」と言われ今日の夕方二人はこっちに来ることを思い出す。

 自分の部屋に戻りまだ寝ぼけている頭と体で掃除を始める。床や窓など目につくであろう場所を掃除機や雑巾を使い綺麗にする。

 去年の年末行こうやっていなかったので改めて掃除をするとだいぶあれだった。母が言っている掃除は毎日した方がいい、掃除機だけでもかけた方が良いという言葉を思い出す。はぁと思わずため息がでてやめてしまおうかと頭によぎるがさすがに人様に見られるかもしれない部屋を今のままにして置くわけにもいかず気分は乗らないが仕方なく続けることに。

 どれぐらいたったのか時計を見るとお昼前になっていた。少し早いが休憩のいみもこめて昼ご飯を食べようとリビングに行くと、同じ事を考えていたのかモグモグしている母親がいた。俺のある?と聞くとそこに置いてある物を適当にどうぞと言われテーブルを見ると作ったであろう焼きめしがあったのでありがたくいただくことに。食べていると「あんたの隣の部屋は自分の部屋以上に綺麗にしなさいよ」と言われまだ自分の部屋も終わってないのにできるか!と言いたくなったが心の中にとどめ残りの焼きめしを食べ終え部屋の掃除の続きをすることに。途中睡魔に襲われ何度か心が折れそうになったがなんとか耐え自室の掃除を終わらすことが出来た。

時計を見ると14時を回っていた。確か16~17時頃にこっちにくると母親が言っていたのを思い出す。

 まだ2~3時間あるので余裕はあるなと思い隣の部屋の掃除に取りかかろうとしたが唖然とする。すっかり忘れていたこの部屋は物置になっていたのを。固まっていても仕方ないのでまず置いてある物をどうするか母親に聞くといらない物は駐車場の邪魔にならないところに置いておいてという事なのでまずは捨てる物と置いておく物に分けることに。選別を終え床や壁を雑巾がけしていこうと手をかけたとき「ピンポーン」来客を知らせる音がした。俺は二階の物置部屋にいるのでおのずと母親が対応することに。

 扉が開くと聞き覚えのある声が2つ。まさかと思い時計を確認するともう少しで16時になろうとしている所だ。

「あら、早いですねー」

「少し早いですがこれから一緒に住むんですから手伝えることがあればと思い来ちゃいました。」

「そうなんですね、それならちょうどよかったまだ掃除と晩ご飯の買い物が終わってなくて、買い物頼めますか?」

「ええ、もちろん!あ、荷物ここ置きますね」

 直久さんはそう言い娘の橘凜と一緒に晩ご飯の買い物に行った。俺は掃除を一旦止め、母親のところへ。

「来るの早いね。」

「あ、直人なんでおりて来なかったの」

「いや、予定の時間よりだいぶ早かったから掃除も終わってないし」

 「来て早々申し訳ないことしたかしら」

表情を暗くしてぽつりと言ったが。

「さ!今のうちに少しでも終わらそう、あんたもまだ終わってないんでしょ」

「はい...」

 気持ちを切り替えたように母親はそう言い俺には掃除を終わらせるように促す。

ーーー

「ただいま戻りました~」

 30~40分たっただろうか陽気な声が家に響き二人が買い物から帰ってきたのが分かる。

「おかえりなさい、凜ちゃんもありがとね」

「いえ」

 そんな会話が聞こえてくるがもう少しで掃除がおわりそうなのでかまわず続けていると

「ただいま直人君なおと

「おかえりなさい」

 階段をあがってここまで来たのに気づかず反射的に答えてしまう。

 直久なおひささんはそれだけ言って三人のいるリビングに戻っていった。直久さんと会うのは顔合わせの食事以来だがあの時と変わらない爽やかな笑顔で挨拶してくれた。

 ――

掃除も終わりリビングに戻ると食欲をそそる良い匂いがしている。

「掃除終わったよ。」

「そう、おつかれ。ご飯もう少しで出来るから」

 さて、待っている間どうしようか思案していると。

「あんた暇なら凜ちゃんに部屋とか家の事とか案内したら?」

 「行きましょうか」

 言われるがまま案内をすることに。

 ――

「だいたいこんな感です。なんか聞いておきたいこととかありますか?」

「ううん大丈夫ありがとう。」

「最後にここが橘さんの部屋、その隣が俺の部屋だから分からないこととか困ったことがあったら呼んでください」

「分かった」

 大きい家ではないので案内もすぐ終わり晩ご飯までもう少し時間があり暇になってしまう。

 普段人と話さないので緊張するがこれから家族になる人に対していつまでもそんなことを思っていては相手にも失礼になると意を決し。

「あのー」

「ご飯出来たわよー」

 リビングから声がかかる。

「行きましょうか...」

 俺は話すのをやめ一緒に行くように促す。彼女も一瞬怪訝な表情を浮かべたがついてきた。


 

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