第9話 天才たちの座談会(小野寺翳・禊禧祭・高木正馬・西浦択人・作者)
☆あてんしょん☆
こちらの作品は、作者の完璧な自己満足です。
興味のない方はブラウザバックを推奨します。
~申訳程度の登場人物紹介~
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【日時場所共に不明】
円形に並べられた椅子。四つの椅子には、それぞれ男が一人ずつ腰掛ける。中心には、見つめようとすると霞むような淡い
「やあ」
やがて、一人の男が声を上げる。
「
「君たちに語り合ってもらうためだよ」
そう聞いて、尋ねた男は自分以外の面々を見回す。
「じゃあ、自己紹介から始めてもらおうか」
と、
「じゃあ、まずは僕からかな。――小野寺翳、1999年生まれ。君たちよりはずいぶん年上みたいだね」(以後『キヌ』)
「禊禧祭、2010年生まれ。……こんにちは」(以後『マツリ』)
「高木正馬、2009年生まれ。よろしく頼みます」(以後『ショウ』)
「西浦択人、2009年生まれだよっ! よろしくねっ!」(以後『タクト』)
なかなかに個性的な面々。不思議そうな面持ちでお互いを見つめる。
「諸事情により、西浦君には営業モードで出てもらう」
「ご歓談くださいな」
キヌ「ご歓談って、具体的には?」
「ん、ルール説明ほしい? ――えっとぉ、君たちは、僕が満足してくれるまでお話しする。僕が聞き飽きるか、それとも聞きたい話題が出尽くしたのなら、解放。それぞれの世界に戻れる。でもそうじゃなきゃ、半永久的にこの世界の中。わかった?」
キヌ「現実世界で時は経っているんですか?」
「経たない。ただ、君たちの精神は疲弊する」
キヌ「ありがとうございます」
キヌ「ごめんね、僕が主体で話を進めてしまった。どうかな、僕とここにいる祭君は知り合いなんだけれど。君たち二人も知り合いかな?」
タクト「そうですよ!」
キヌ「やっぱりそうか。ねえ、みんなどんな話がしたい?」
ショウ「俺としては、一体あなたたちが誰なのかを知っておきたいです。
マツリ「俺たちがなぜ集められたのか、の説明くらいはあって良いと思う」
キヌ「じゃあ、自己紹介の続きでもすることにしようかな。それぞれ、自分が誇りに思っていること、特技、そういうことを言ってみようか。もしかしたらそんな辺りに共通点があるかもしれない」
各自、了解の意を示す。
キヌ「さっきから、僕ばかりが喋っていて何だか申し訳ないね。――僕の特技は、簡単に言うとハックかなあ。一応、ホワイトハッカーなるものを職業にしている。あと、中高共に一度も学年一位を逃さなかったのは誇りに思っているよ」
マツリ「特技は、……一度見たものをすべて記憶すること。一応、自分の処理能力にはなかなか価値があると自負している」
ショウ「特技は読んだ本の内容を一から十まで覚えること、そして今はとある方の
タクト「えへへ、僕の特技もハックなんだ。でも、翳さんは地球一、僕が宇宙一ってところかなあ!」
各自、少し考える。
マツリ「いいですか? これを言うと少しあれなのですが」
ショウ「どうぞ」
マツリ「『天才』じゃないですか」
タクト「やっぱり!? 僕もそう思うっ!」
いえーい、とぎこちないハイタッチを交わす。
キヌ「どうでしょう、
「正解。やっぱり頭いいね、みんな」
ショウ「となると、
「うん」
マツリ「『天才』か。その言葉も幾分チープになってきてしまっているように思いますけれど」
タクト「うん、チープだね。チープで陳腐でチップだよ」
キヌ「チップ、切れ端ですか」
タクト「僕が天才的なのなんて、コンピュータの扱いくらいしかないよ? 翳さんや正馬、祭君もかな? みたいに、多方面に秀でている者こそ『天才』なのでは、と僕は思うけどね」
キヌ「面白いですねえ。『天才観』と言ったところですか」
ショウ「それほど言われた覚えはない」
マツリ「言われたときに、褒め言葉なのかどうなのか迷ったな」
キヌ「一種のカリスマ、という意味ではまんざらでもなかったですね。生徒会長を務めていたので、そのようなイメージが着くのは喜ばしかった」
タクト「『天才』って言うのはどういう意味が正しいんだろうね? 世間に浸透している意味とは違う、とみんな思っているようだけど」
ショウ「ある一点に秀でており、他者を寄せ付けない、みたいな意味ではないのか?」
マツリ「たった一つのことに狂気的になれるその精神を指しているともいえる。すると『天災』と同音語である辺りになかなか面白味が生まれなくもない」
タクト「別に、意味なんてないだろうけどねえ。理解できないものにそうやって名前を付けた、みたいな」
キヌ「精神疾患でしょう。世界にあまたある理解不能で救いようがなく、なおかつ手を差し伸べるべきな各種の精神疾患と同様の、ただしポジティブな面を多く持つ、ただの病気」
タクト「ずいぶん辛口ですね」
キヌ「狂気と天才がまるで同一視されていきそうな昨今の風潮にはやや不安を抱いておりまして」
マツリ「天才と悪魔も取り違えられがちに感じる」
悪魔がなんなのか、総員しばし思考。
タクト「ううん、天才の基準がなんであれ、あれだよね。僕らが天才代表、みたいな形なのはちょっと困るね」
ショウ「そうだな。特に俺たちの仲間には、他にも『天才』と呼んで差支えのない人がたくさんいる」
マツリ「それは俺も思うところだけれど……やはり、俺たちがここに集められたことには『天才』である、というだけでない理由があるのでは?」
キヌ「確かに、そう考えるのが自然だね。――僕、さっきショウ君が『とある方の
ショウ「大したことではないですよ。ただ、俺のこの才能を認めてくれた人がいる、ただそれだけで。この才能を、彼女のために使いたくて」
総員、年上の翳に話すときのみ敬語になる模様。
タクト「僕も同じ。彼女のためなら、世界のすべてにだってアクセスできる。僕の存在理由がそのまま彼女と言っても大きな相違はない」
キヌ「僕にも、そういう女の子が一人います。今も、その子のために世界を平和にしようとしている最中です。ふふ、妹ですけれど」
マツリ「俺の思い浮かべているのも、翳さんと同じ人。誰よりも大切な人、彼女のためにだけ俺は力を注ぎたい」
互いの顔を見つめる。
タクト「あのさ、残念ながらあんまり何も受け止められてないんだけど、
「んー。僕は訊いていて楽しいよ」
マツリ「そうではなくて、この会話が全体的にエンタメ性に欠けるというか」
ショウ「
「お前らむかつくね。ひどい目にあわすよ。――うん、そんなことはしないけどさ。僕じゃ触れきれないメタ的なとことかに入って見てもいいんだよ」
キヌ「メタ的なところ……
タクト「それは僕だけ仲間外れじゃあん?」
翳・祭・正馬、共に百七十センチ超。
択人、百六十センチ代後半。
「ん。何かそういうイメージかも。うん、そんなんでもいいよ」
ショウ「いや、もう十分だと思う。
「ええ、もう? 話題は出尽くしたって?」
マツリ「そういうのが近いかな」
「さっきから君たち僕にフランクじゃない?」
タクト「僕らが君を振り回す方なんだぜ☆」
「色仕掛けには引っかからないぞ」
タクト「いや、顔がどっち向いてるのかわかんないよね」
「僕の正体が知られては困るだろ?」
キヌ「別に、知ってしまった時には流出させてもいいですよ」
「消す」
キヌ「怖いです、
「ううん、もともと僕は、君たちが『天才』についてどう思っているのか知りたかったんだよね」
タクト「じゃあ、もう帰してくれれば」
「じゃあ、最後に一個だけ訊くね。――この世界をどうしたい?」
キヌ「世界を平和に。すべては妹のために」
マツリ「たった一人のために、彼女のために生きる。だから世界は関係ない」
ショウ「彼女の望むとおりに。そのためなら俺のこの
タクト「彼女が世界をすべて知りたいと願うのなら、すべてを調べよう。彼女がすべてを壊したいと願うのなら、すべての人の電子機器から手を伸ばしてやろう」
「ありがとう。それが訊きたかった。僕も最近、君たちが何をしたいのかわからないんだよね」
タクト「
「また誰かに集まってもらおうかな。どうだった?」
キヌ「なかなか興味深かったです」
マツリ「そんなことより彼女のところに今日は行く日なんだ」
ショウ「いつかあなたの指図でなく逢いたいですね」
タクト「あ、ショウ、調べてあげよっか」
「君たちは何時までもマイペースだねえ……あはは、バイバイ」
Goodbye.
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