菜々子さん
「そんなに泣くくらい、好きなの?」
世衣は、珠羅を抱きしめ、右手でゆっくりと頭を撫でる。
頷く珠羅。
恥ずかしさで、頭がどうにかなりそうだったが、抑えきれないくらい、世衣でいっぱいだ。
「俺、年下の子に、そんなに想われた事ないんだけど・・・俺でいいの?」
――俺でいいって・・・それって・・・?
「俺も・・・珠羅さんの事、可愛いって思ってる。」
「・・・・世衣くん・・・」
世衣の低い声が、珠羅の耳元で囁く。
2人は見つめ合い、そして、ゆっくりと―――
口づけた。
ドキン・・・ドキン・・・
――世衣くんの唇が、あたしの唇に重なってる。あったかくて、柔らかい・・・
世衣の右手が何度も珠羅の髪を撫でる。
「んっ・・・」
珠羅の苦しそうな声で、世衣は唇を離した。
「ごめん、苦しかった?」
「う、ううん。少し・・・長かったから、どうしていいか、わかんなくて。」
うつむきながら唇を両手で押さえる姿を見て、世衣は、なんともいえない愛おしさを感じた。
「ごめんね。」
ふわっと珠羅の前髪を人差し指で触れる。
――うわっ・・・緊張しちゃう。
世衣はニコッと微笑んだ。
「もう泣かないでね。俺、珠羅さんの事、大切にするから。」
「うん。」
「だけど・・・」
世衣の顔が再び近づく。
「もっかい、してもいい?」
再び唇が重なる。
今度は、ゆっくりと、優しく、包み込むようなキス。何度も離れては、また愛おしく触れる。
「大好きだ。珠羅。」
――珠羅・・・呼び捨て・・・////
珠羅は大人のキスに、どうしていいかわからず、世衣を受け入れるのがやっとだった。
夕食を食べ、お風呂に入る珠羅。
鏡に映る姿をじっと見つめる。
――あたし、世衣くんと、キスしちゃったんだ・・・。
キスは初めてじゃないのに、基裕の時も、嬉しかったけど、それとは全然違う。
相手によって、こんなにキスって違うんだ。
そして、ふと、体を見る。
――てか、キスの次は、アレ・・・・だよね。どうしよう!?お腹、出てないと思うけど、もっと痩せた方がいいのかな。意外とデブとか思われたらヤダな。
ムダ毛の処理もちゃんとしないと!
オッパイのサイズは・・・今更どうにもならないけど・・・世衣くん、やっぱ大きい方がいいのかな。
イロイロ考えすぎて、頭痛くなってきた。
◇◇◇◇◇
2人が付き合い初めてから、1ケ月が過ぎた。
テコンドーの全日本選手権を2日後に控えて、館長と母親は打ち合わせなどの為、一足早く会場へ向かった。
初めての2人きりの夜。
「世衣君は、あしたの朝会場に行くんだよね。」
「うん。前日計量だからね。」
世衣はリビングでストレッチをしながらテレビを見ている。
「久しぶりの試合なんだよね。」
「そうだな。」
世衣は立ち上がり、冷蔵庫にドリンクを取りに行く。
「がんばってね。当日、応援に行くからね。」
「うん。ありがとう。」
2人きりの静かな夜に、珠羅は、もしかして初めての・・・と少し期待していたが・・・
――世衣君、いつもと全然変わんない。はぁ。あたしってば、1人で期待しちゃって、なんかバカみたい。
「あたし、部屋に行くね。」
珠羅はソファから立ち上がる。
「え?じゃあ、俺も行こうかな。」
「え?」
「ん?」
――い、行くってどこに!?
「初めてだし、ちゃんとベットのがいいよね?」
世衣は珠羅を抱きしめ、キスをした。
――ん、ん、
世衣の舌が珠羅の舌に絡み合う。
「行こうか。」
スッと、お姫様だっこをすると、そのまま、珠羅の部屋へ。
「せ、世衣君、待って。」
「イヤなの?」
ベットに横たわる珠羅にまたがり、世衣はTシャツを脱ぐ。
厚みのある胸筋と、引き締まった腹筋が露わになる。
――あ、あわわわ!!すごい!!カッコ良すぎる!!
「俺、1ケ月も我慢したんだぜ。もういいだろ?誰もいないし。」
「う・・・・うん・・・」
世衣は珠羅のTシャツを脱がす。
大きくはないが形の良いバスト。
世衣はブラをずらし、トップを舌で転がした。
「う・・・・ん・・・」
「かわいい、珠羅のトップ。ピンク色だ。」
―――恥ずかし・・・///
「高校生よりは、断然、俺のがイイと思うよ。」
そういうと、世衣は珠羅の耳に舌を這わした。
「あ、イヤ、恥ずかし・・」
「なんで?恥ずかしいの?これで?もっと恥ずかしいとこ舐められちゃうのに?」
――どうしよっっ!!恥ずかしいのと、緊張で、どうにかなりそう。
珠羅は両腕を挙げられ、ワキを舐められる。
「あああっっ!!イヤ、やめて!!!恥ずかしいよ!!!」
「やめない。」
「あはぁぁ・・・ん・・・いじわるぅ。」
「いじわる?」
世衣の指が、珠羅の敏感なとこに、そっと触れる。
「はっ、あっ。」
「じゃあ、やめちゃおっかなぁ。こんなになってるけど。」
珠羅は体をよじらせる。
「やめちゃっていいの?」
そう言いながら、そっと下着に手を入れ、熱く湿った場所を、ゆっくりさすると、温かいものが、どんどん流れてきて、触れている部分は、硬く大きくなった。
――ああ、ダメ!!このままじゃ!!
「やめてほしくなさそうだね。ビチャビチャだよ。大事なとこが。もっと早く動かしたら、どうなっちゃうかな。」
世衣は指を早く動かした。
――あ、やめて、やめて!!!
「はぁ、はぁ、はぁ、い、いく・・・」
「うん?」
「い、いっちゃう・・・いく、いく!!!」
ビクビクビクッッッ―――!!!
「はぁ、はぁ、あっ、あっ・・・」
「いっちゃったね。気持ち良かった?エッチングだね、珠羅は。」
―――んっ、いじわる・・・もう。
「じゃあ、今度は俺を気持ち良くさせて。」
世衣は珠羅の足を拡げ、ゆっくりと挿入した。
「あっ、んっ、」
――気持ちいい。世衣君の。
「あ、スゴイな。キツイ。ゆっくり動かすよ。」
ゆっくりと腰を前後に動かす。
「あつ、あっ、んっ、んっ。」
「んっ、あっ、珠羅、少し早く動いていい?」
「うん。いいよ。」
世衣は珠羅を、しっかりと抱きしめる。
珠羅も、世衣の首に手を回し、ひしっとしがみついた。
「あっ、あっ、気持ちいい、気持ちいいよ。世衣君・・・!」
「俺も!気持ちいいよ。もう、いきそう・・・・」
2人は口を開け、舌を絡めた。
「だすよ、いい?」
「うん。いいよ。」
「いくよ?はぁ、はぁ、ふっ・・・!うん・・・!あっ・・・」
「ああ・・・!んっ・・!」
――はぁ、はぁ、はぁ・・・
珠羅の上に、世衣が倒れ込む。
「はぁ、はぁ、はぁ。やっちゃったね。あたし達。」
「うん。」
チュッと軽くキスをする。
「気持ち良かった?」
「うん。スゲー気持ち良かった。」
世衣は珠羅の隣に寝転ぶ。
「世衣くん。大好き。」
「俺もだよ。大好きだ。」
だけど、珠羅には一つ気になる事があった。
「菜々子って・・・誰?」
「え?」
「前に電話してた・・・菜々子って・・・」
世衣は目を丸くする。
「菜々子は、ずっと俺のセコンドやっててくれた人だよ。最近は忙しくて違う人に頼んでたんだけど、やっぱり彼女じゃないとダメで。今度の試合は、また彼女に頼んだんだ。」
「もしかして・・・この間、カフェにいた、女の人・・・?結婚するとかいう・・・」
「カフェ?あ、見てたの!?」
珠羅は顔を赤らめた。
「彼女は元カノだよ。俺の友人と結婚した。
相手がけじめつけたいって言うから会っただけだよ。菜々子じゃないよ。」
「そうなんだ。」
「そんなに心配なら、試合の日に紹介するよ。全く心配いらないから。」
◇◇◇◇◇◇
「おお、珠羅、来たか。」
館長である父が手招きする。
「世衣!菜々子!来てくれないか。」
道着姿の世衣が珠羅に気づき、歩いてくる。
試合前の世衣はいつもにも増して男らしく、カッコよかった。
その後ろを身長が世衣とあまり変わらない、180センチくらいありそうで、体重もまた3桁ありそうな大柄の女性が歩いてきた。
「始めまして。世衣の幼馴染の曽根菜々子です。」
「あ、は、始めまして。館長の娘の珠羅です。」
軽く挨拶を済ますと、菜々子はドスドスドスと、去って行った。
世衣は珠羅に近づき、耳元で囁く。
「俺が好きなのは、年下の珠羅だから安心して。」
――Fin――
徳山君は年上が好き 本間和国 @kunuakitubu
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