第2話 古き良きスタート

「鬼キメサイコロ!」

 テツは、ぱっ、といって、ぱっ、と手を離した。奇数の目が出たらテツ、偶数の目がでたらパグだ。

 奇数の目を裏返したのは、テツの策略だったのか。

 パグの期待はあわく消えた。もう一回転したのだ。

「これこそ策略だったのか!」我慢ならなかった。パグは叫んだ。

「うんそうだね」

「認めるの?」

「うん、そうだもん」

「まぁね」ハルも笑う。くぅーっ、さすが頭脳担当!

「60! 59! 58!」

 古いコンテナのなかに、乾いたテツの声。テツこりにしては珍しい、施設での開催は、こうして幕を開けた。

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