短編「テツとこりどうと犬と人。」

沼津平成

スタートの前まで

第1話 作戦をたてましょう

「君に言いたいことがあるんだ」テツが見ているのは棒人間と中年デブサラリーマンのチームだ。このチームは敵だ。「いや、正確にいうと君たち、だね」

「早く言ってくれないか?」パグ——という、中年デブサラリーマン——は舌打ちをうった。「実の息子がこんなにもじれったいのは少し気難しいもんだよ」

「なるほど失礼」コホン、とテツは咳をついて、こりどうの方を見た。「気は抜かないでくれ。やっぱりこっちは本気だ」

「やめてよ〜」ぐすっ、と棒人間が泣きかけた。ドジな棒人間は負けてばかりで、罰ゲームを受けるのはもうどっちかほとんど決まっている。

「これじゃ罰ゲーム受けにきたみたいなもんじゃ、ああなんてあほらしーんだろ」

「……あっ、えーっと」笑えないので笑う雰囲気を作り出す。棒人間は少し元気を出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る