北欧編 第4章:最後の晩餐

1.戦闘準備


カール・オルセン中尉は、スルトとの戦いに向けて基地で準備を整えていた。ノルウェー空軍のエリートパイロットである彼は、何度も戦場に立ち、その度に生き延びてきた。しかし、今回の戦いはこれまでとは違う。スルトという神話の怪物との対決が、地球の未来を左右するものだった。


カールは、F-35戦闘機のコックピットに座り、計器類をチェックしながら静かに呟いた。「本当に勝てるのか...?」スルトはこれまでの戦いで片腕を失い、今やその強力さに陰りが見えていた。しかし、依然として強大な力を持ち、人類にとっての脅威であることには変わりなかった。


2.作戦会議


ブリーフィングルームに集まった空軍の指揮官達とパイロット達は、作戦について議論を交わしていた。スクリーンには、スルトが進行しているフィヨルドの最新の衛星画像が映し出されていた。


「スルトの片腕は先の戦いで破壊されたが、依然として我々にとって脅威である。特に、その残る腕と巨大な剣は依然として高温を発しており、通常の攻撃では破壊する事が難しい。」


指揮官の声が静寂の中に響いた。


「今回の作戦は、空中からの総攻撃を仕掛け、スルトを完全に無力化することにある。特別な液体窒素ミサイルを搭載したF-35が、その先陣を切ることになる。」


その言葉にカールは身を引き締めた。自分の機体がその液体窒素ミサイルを運ぶことになるのだ。彼はその責任の重さを感じつつも、任務を完遂する決意を固めた。


「オルセン中尉、君の役割は非常に重要だ。ミサイルを正確に命中させ、残りのスルトの腕を凍結させ破壊する事ができれば、地上部隊が仕留めるチャンスが生まれる。」


カールは頷きながら、ブリーフィングを終えた。その後、彼は格納庫へと向かい、自らのF-35を確認した。液体窒素ミサイルは既に装填され、全ての準備が整っていた。


3.最後の夜


その夜、カールは仲間達と最後の晩餐を共にした。笑い声が聞こえ、戦場での緊張感を忘れるかのように一時の安らぎが漂っていた。だが、彼の心は明日の戦いに集中していた。


「生きて帰れるかな?」


隣に座るパイロットの一人が呟いた。


「俺達がやるしかない。みんなが俺達を信じてる。」


カールはそう答えたが、心の中では同じ不安を抱えていた。しかし、それを表には出さなかった。彼らの背後には、守るべきものがあり、敗北は許されなかったからだ。


翌朝、カール達は早朝の冷たい空気の中、出撃の準備を整えた。各国から集まった兵士達が見送る中、カールはF-35のコックピットに乗り込み、発進の合図を待った。


「オルセン中尉、準備完了しました。」


管制塔からの連絡が入ると、カールは深呼吸をしてから応答した。


「了解、これより発進する。」


F-35のエンジンが唸りを上げ、滑走路を走り出した。カールは目を閉じて集中し、次の瞬間には機体が空へと舞い上がっていた。


彼の頭の中には、これまでの戦いと、これからの戦いが交錯していた。全ての犠牲が報われるために、彼はこの一撃を成功させることを誓った。

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