北欧編 第2章:NATO即応部隊
1.戦場へ向かう決意
ロバート・"ロブ"・ハドリー中尉は、イギリス軍のエリート兵士として、数々の戦場を生き抜いてきたベテランだった。しかし、彼の経験をもってしても、今回の任務が過去のどの戦いよりも困難であることは明白だった。スルトが中東からヨーロッパへと進撃し、その進路上にある都市は炎に包まれた。世界中の軍が総力を挙げて立ち向かう中、NATOもその一員として戦闘準備を整えた。
ロブは、NATO即応部隊に配属され、液体窒素兵器を用いてスルトの動きを封じるという重大な任務を担った。彼と彼の部隊は、スルトの進撃を食い止める最後の砦として、戦場へと向かっていた。
ヘリコプターで前線へと運ばれる中、ロブは窓の外に広がる破壊された都市の風景を見つめていた。かつて平和だった土地が、今では灰色の煙に覆われ、無数の炎が燃え盛っていた。ロブは部下達に最後のブリーフィングを行い、決意を新たにした。
「我々の任務は、スルトを止めることだ。全力を尽くしてやり遂げるぞ。」と彼は無線で部下たちに語りかけた。
2.液体窒素兵器の投入
前線に到着したロブと彼の部隊は、迅速に液体窒素兵器の配置を開始した。この兵器は、ドイツの科学者達が開発したもので、極低温でスルトの炎を一時的に鎮めることができるとされていた。ロブは装置の最終調整を行いながら、部下達に指示を飛ばした。
「全員、持ち場を確認しろ!液体窒素の充填が完了したら、すぐに発射準備に入れ!」
スルトが近づく轟音が次第に大きくなる中、兵士達は緊張の面持ちで着々と準備を進めた。そして、ついにスルトが視界に入ると、ロブは全員に命令を下した。
「全軍、攻撃開始!」
液体窒素を充填した弾頭が次々とスルトに向かって発射され、彼の巨大な体に命中した。すると、スルトの片腕が凍りつき、動きを鈍らせた。兵士達は歓声を上げ、成功への希望が一瞬だけ見えた。
「やったぞ!次はその腕を破壊するんだ!」とロブは叫んだ。
3.通常兵器による反撃
ロブはすかさず、次の指示を下した。「全員、重火器を準備しろ!凍りついた腕を狙え!」
兵士達はすぐに重火器を構え、スルトの凍った腕に集中砲火を浴びせた。ミサイル、ロケットランチャー、機関銃が一斉に火を吹き、スルトの腕にダメージを与えた。次第に凍りついた部分がひび割れ、最後に大きな爆発音と共にスルトの片腕が粉々に砕け散った。
「やったか…?」ロブが息を呑んで見守る中、スルトの咆哮が響き渡った。彼の炎の体は一瞬だけ動きを止めたが、すぐに再び燃え上がり、残った片腕で部隊に向けて猛攻を仕掛けてきた。
4.決死の防戦
スルトの反撃は凄まじく、次々とNATO兵士達が彼の攻撃に倒れていった。ロブは必死で部隊を指揮し、仲間達を守ろうとしたが、次第に戦況は悪化していった。
「ここで踏ん張るんだ!諦めるな!」とロブは叫び続けたが、スルトの力は圧倒的で、兵士達は次々に焼き尽くされていった。
最終的に、ロブは自分一人が生き残ったことに気付いた。彼の周囲には、炎に包まれた戦場と、倒れた仲間達の姿が広がっていた。彼の体は満身創痍で、呼吸するのも辛かったが、彼はまだ生きていた。
「ここで終わるわけにはいかない…」ロブは自らに言い聞かせ、最後の力を振り絞って、崩れかけた防衛線から撤退を開始した。彼は燃え上がる戦場を後にし、何とか次の防衛地点へと辿り着こうとした。
スルトの猛威を目の当たりにしながら、ロブは自分の生存が奇跡的であることを理解していた。彼は必ずやこの情報をNATO司令部に伝え、次の作戦を練るための貴重なデータを提供する決意を新たにした。
彼の心には、まだ戦う意志が残っていた。
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