北欧編 序章:灼熱の目覚め
1.世界が揺れる瞬間
それは、地球全体が息を呑む瞬間だった。冷たく青い北極圏の空に、突如として赤黒い裂け目が現れた。まるで地球そのものが悲鳴を上げているかのように、大地が震え、空がひび割れる。北極の氷原が轟音とともに崩れ落ち、深紅の光が暗闇を切り裂く中、巨大な影がゆっくりと現れた。
裂け目から溢れ出す火と溶岩の中から、全身を燃え盛る炎に包まれた巨大な存在がゆっくりと姿を現した。その巨体は山脈ほどもあり、全身が赤熱した溶岩で覆われていた。スルト――北欧神話に伝わる、炎の巨人。その手には、燃え盛る剣が握られており、その一振りで世界を焼き尽くす力があると言われていた。
スルトが地上に降り立つと、北極圏全体が揺れ動き、氷が一瞬にして蒸発した。彼が一歩踏み出すたびに、大地が崩壊し、火山が噴火し、大気が熱に侵された。スルトの目は、まるで地球の全てを見通すかのように輝き、その視線は確実に北欧へと向かっていた。
2.緊急事態発生
スルトの出現は、瞬く間に世界中に知れ渡った。ノルウェー、スウェーデン、フィンランドといった北欧諸国では、政府が緊急会議を開き、国民に避難を呼びかけた。NATOの本部では、最高レベルの緊急警報が発令され、全世界の軍事力がこの未知の脅威に対応するために集結し始めた。
北欧諸国の首脳達は、スルトの力に対する恐怖と驚愕で顔を青ざめていた。彼らは、神話に語られる滅亡が現実に起こるとは信じられず、目の前に迫る絶望にどう対処すべきか分からなかった。
ノルウェー首相: 「これは神話ではなく、現実だ。スルトが目覚めた…北欧は…いや、世界が終わるかもしれない。」
フィンランド大統領: 「すぐにNATOと連携を取らねばならない。我々だけでは到底手に負えない…」
この時、ノルウェーの空軍基地で訓練を行っていたカール・オルセン中尉もまた、スルトの出現を知った。カールは冷静に状況を分析しながらも、心の中で渦巻く恐怖を抑えることができなかった。彼は、自分の生まれ育った故郷がこの脅威にさらされることを感じ、何としてでも守らねばならないと決意した。
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