インド編 第3章:兄弟の決意
1.ラフルの想い
ラフルは空中からナグルファルの周囲を監視しながら、地上で繰り広げられる戦いを見守っていた。彼の心には、弟アルジュンの姿が浮かんでいた。
「アルジュン、負けるな…」
ラフルは心の中で弟に呼びかけた。自分もまた、兄としてできる事を全てやり遂げなければならない。空中からの援護が弟達の助けになる事を願いながら、彼は周囲のアンデッドを排除し続けた。
地上では、アルジュンがムスペルとの最後の決戦を繰り広げていた。ムスペルの剣が振り下ろされるたびに、大地が揺れ、爆発が起こる。アルジュンはその猛攻をかわしながら、必死に反撃の機会を狙っていた。
2.ムスペルの怒り
ナグルファル内部では、アルジュン達がムスペルの巨体に立ち向かっていた。炎の巨人であるムスペルは、その名にふさわしい灼熱の力を誇っていた。彼が剣を振るうたびに、炎の衝撃波が周囲を焼き尽くし、インド陸軍の兵士達を苦しめた。
「アルジュン、こいつは手強すぎる!」
仲間の兵士が叫ぶ。しかし、アルジュンの目には恐怖は見られなかった。彼はムスペルの動きを冷静に観察し、攻撃の隙を狙っていた。
「怯むな、攻撃を続けろ!こいつを倒すしか、俺達に勝利はない!」
アルジュンの声が兵士たちの士気を奮い立たせる。彼らはムスペルに向かって火器を放ち続け、何とかその攻撃を食い止めようとした。しかし、ムスペルは傷つく事なく彼らを圧倒し続けた。
ムスペルが再び剣を振り上げたその瞬間、アルジュンは仲間達に退避を命じた。
「みんな、下がれ!」
彼の言葉に兵士達はすぐに反応し、ムスペルの一撃を避けた。剣が地面に叩きつけられ、爆発が起こる。炎と煙が立ち込める中、アルジュンはムスペルの足元に向かって全力で駆け寄った。
「今だ!」
アルジュンは手にしていた特殊爆薬をムスペルの足元に設置し、その場を離れると同時に起爆させた。爆発がムスペルの足を直撃し、巨人の動きを一瞬だけ止めた。
その隙を見逃さず、アルジュンの部隊は総攻撃を仕掛けた。無数の銃弾と爆薬がムスペルを襲い、ついにその巨体が揺れ始める。
「このまま押し切れ!」
アルジュンの指揮の下、兵士達はさらに攻撃を強め、ムスペルを追い詰めていった。巨人の怒号がナグルファル内部に響き渡り、その目が激しく燃え上がった。
3.兄弟の連携
同じ頃、ラフルは空中からの支援を続けていた。彼のSu-30MKIは、ナグルファルの周囲を飛び回り、残存しているアンデッドやヨトゥンの攻撃を防ぎつつあった。
「ラフル、敵の増援が近づいている。急いでムスペルを倒すんだ!」
無線からの仲間の報告に、ラフルは焦燥感を抱いた。弟アルジュン達がナグルファル内部で必死に戦っている事を思うと、彼自身も何としても援護したいという思いが募った。
「了解。これで決める…!」
ラフルはSu-30MKIを急降下させ、ナグルファルの最も脆弱と思われる地点に向かって突撃した。ミサイルを発射し、ナグルファルの外壁に巨大な穴を開け、その爆発音がナグルファル内部にまで響いた。それと同時にムスペルの動きも鈍くなった様に見えた。
「アルジュン、ナグルファルの外壁が崩れた!今がチャンスだ!」
ラフルの声が無線を通じてアルジュンに届いた。アルジュンはその報告に力を得て、さらにムスペルへの攻撃を強化した。兵士達もまた、ラフルの援護に感謝しつつ、最後の力を振り絞って戦い続けた。
ムスペルの力は次第に衰えていき、ついにその巨体が崩れ落ちる瞬間が訪れた。アルジュンはその場に立ち尽くし、目の前で倒れるムスペルを見届けた。
「勝った…!」
アルジュンは息を切らしながらも、勝利を確信した。その瞬間、無線からラフルの安堵の声が聞こえてきた。
「アルジュン、よくやった…これで、俺達は家族を守れたんだ。」
4.激闘の果てに
巨人ムスペルが倒れ、ナグルファルの脅威は一時的に去ったが、戦いが完全に終わったわけではなかった。ラフルとアルジュンはそれぞれの役割を果たし、インドを守り抜いたが、彼らの戦いはまだ終わりを迎えていない。
ナグルファルの残骸からは、なおもアンデッドが湧き出てきていた。アルジュンは部隊を再編し、残敵の掃討を開始した。ラフルもまた、空からの支援を続け、敵の増援を阻止するために奮闘していた。
兄弟の絆と強い決意が、インドの大地を守り続けた。彼らの戦いが終わる時、ラグナロクの脅威もまた終焉を迎えるのだろうか。それとも、この戦いは新たな挑戦の始まりに過ぎないのか――。
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