第4話 ぬか袋と糠床
たぶん、お米屋さんがあったので
そこで貰ってきていたのだと思う。
聞いたことが無いので。
米糠。
米糠の使い道は色々。
祖母はぬか袋を作っていた。お風呂屋さんに
行く時に持って行き、それで体を洗っていた。
私にはやらなかったから、年寄りの体には
石鹸は脱脂し過ぎるのをわかっていたのか?
自分用に使っていた。
勿論、糠床は作っていた。生の米糠を煎っていた姿を覚えている。
糠床はもう漬け物用の壺?にあったので
そこに足すのである。
毎日、必ず手首まで入れて混ぜていたのを覚えている。
私はこの匂いが苦手だった。
祖母はこれだけは私に触らせない。
「てぐさりするといかんでね。」
よく祖母が使う言葉のひとつだった。
どうも人によっては、どれだけ大切に糠床の
手入れをしても糠床がダメになる手があるらしかった。
これは梅干しも同じで、てぐさりする人の梅はまずいと話していた。
祖母は糠床を混ぜながら手についたものを舐める。よく、そんな物を舐められると思いながら見ていた。
そして、塩を足したり鷹の爪をいれたりしていた。
きゅうり、なす、白菜、大根がつけられていて
食卓には必ず置いてあった。
当たり前だと思っていたけれど、自分が糠床を作ってみるといやはや難しい。
娘にも味見してもらうが、毎回、何か物足りないと言われる始末。
あの祖母の糠床を分けて欲しいと思うのだが。
あれは祖母の手で混ぜてこその味だったような気がする。
だから誰にも真似できない。
人の手には不思議な力があるような気がする。
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