やめろー!アイドルを育成したら、こうなった。夢いっぱいなハウスの中の、真実は…♡

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 もしも、アイドルを育てられたら…?同じような趣味の友人に会うときは、注意したい。異世界的な時間を、経験することになるだろう…

 育成アイドルで、幸せになろう!

 幸せといえば、「小さなおじさん」を見ると幸せになるという伝説がある。

「小さなおばさん」を見ると、どうなるんだろう。

 それはそうと、彼は今日、クズハという名の友人と会う。

 アイドル系アニメキャラなイラストたっぷりな帽子をかぶり、待ち合わせ場所へ。

 すると、クズハもまた、アイドル系アニメキャラなイラスト帽子をかぶっていた。

 同じ趣味の友人は、こういうときに怖い。

しかし、もっと怖いのは…?

「よう、クズハ!元気そうだな」

「…ああ」

「え、何?」

 いきなり、ショルダーバッグを床に下ろすクズハ。

 中から、バッグのキャパ(容量)いっぱいの大きな箱が出てきた。

 魔法少女系の絵が描かれた、レインボーカラー箱。

「クズハ?これ、何?」

「育成アイドル系ハウスだ!」

「育成…アイドル系?」

2階建てらしい、ミニチュアハウス。 

 「幸せになろうぜ!」

「…はあ?」

「この専用ハウスでアイドルを育てると幸せになれますって、説明書に書いてある」

「育てるの?」

「もちろん!」

「ただし…」

「ただし?」

「育成中は、このハウスの中をのぞかないでくださいとも、書いてあるな」

「ふうん」

「のぞいたら、のぞいた人の幸せ度がふり切れてしまいますよ、だってさ」

「へえ」

「とにかく、育成だ!」

「…お、おお」

「幸せをつかめ!」

「ああ、そうだな!」

 ハウスの中から、乙女っぽい声が響く。

「育てて!私を、育てて!」

 おお…。

「色っぽい声だなあ、クズハ?」

「だな」

「モーターのからくりで、声が出るようになっているのかな?」

「これぞ、現代ファンタジー?」

食事代わりに、ハウスの中に声を届け続ける2人。

「おはよう」

「おやすみ」

「幸せアイドルに、成長しておくれ」

「皆で、幸せになろうよ!」

 すると、箱の中から聞こえる声が変わってきた。

 何というか、生活のリアルを感じさせる声に成長。

「…ぐえーっぷ」

 リアルすぎる。

「いやな気分だ」

「俺も」

「幸せをくれ!幸せをくれえ!」

「俺たちの、アイドル!」

  2人は、ついつい、箱の中をのぞいてしまう。

「げ…!」

 ここで、2人の幸せ度がふり切れたらしい。

「育成しすぎた…」

 やりすぎ、幸せ伝説。

 ハウスの中で、おばさんが茶を飲んでいた。




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