第6話
「ラルシャーレ!起きて!」
誰かが私を呼んでいます。
「ラルシャーレ様!起きてくださいませ!」
「アメリーナ―ファはもういないぞ!」
ゆっくりと瞼を開くと、たくさんの人々がベッドを囲んでいました。
「おにい、さま…?おねえ、さま…?おとうさまたちまで…
ユダリス、私、どうしちゃったの?」
「ラルシャーレ様は聖力暴走を起こされています。」
「せいりょく暴走…?」
「そんな、ラルシャーレは聖力を持っていないはず…」
お母様が戸惑い気味に質問をしています。
「ごくまれに、成長途中で聖力が発生することがあるんです…
私も、経験したのは初めてですが…」
「では、ラルシャーレは聖女に…?」
「ええ、なることが出来ます。
現在の聖女ルーヴェウス様以外に、聖力を持っている方はいません。
また、ルーヴェウス様は御高齢のため次期聖女の誕生を望んでおられます。
なので、なれるというよりかはならざるを得ない状況かと…」
「ええっ!」
思わず大きな声を上げてしまったわたくしの方を、皆が一斉に向きます。
「聖女は大変なのよ。
ラルシャーレはなりたいと思いますか?」
「いいえ…」
そう言うと、お母様が深くうなずかれました。
「そうよね…ともかく成人式までは隠し通しましょう。」
「は、はい…」
突然聖力が芽生えたことと同じくらい、不思議なことがあります。
…私は作中では聖力がないことになっているのですが…
裏には悪役令嬢ルートもあり、ルウ様は既に経験済みだそうですが、幼少期に聖力が芽生えたなどというストーリーは無いようです。
…展開が、歪んできている…?
そもそもアンがヒロインのアメリーナ―ファに、ルウ様が悪役令嬢のわたくしに転生していてそれぞれの性格や登場人物の性格が変わっているのですから、確かにいつ何が起きてもおかしくはありません。
…もしかして、王妃にならずに幸せになる方法も出てくるのでは…
聖力を抑えるための補助具の使い方を上の空で聞きながら、これからのことを考え直さなければ、と思いました。
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ルシャ・ダ・リセラの聖女~前世の記憶を思い出したら、自分が悪役だけど裏聖女だったことが判明したのでバッドエンドを全力回避します~ 猫原未瑚 @MikoMikko
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