第4話

アメリーナ―ファside

あぁー、くっだらぁん。

全然違うじゃん、ストーリーと。

義兄姉に虐げられたが義両親に愛され、逆ハーレム…じゃないのぉ?

ヒロイン顔して、ヒロイン台詞吐いても注目されないし。

ったく、せっかくなんか面白そうな乙女ゲームの世界に転生できたのに。

ラルシャーレは琉雨の生まれ変わりらしいし…このままいくとやばそう。

本当は見逃してあげようとしてたけどぉ…

…ま、今世でも不幸にしてあげよっと!


この世界に来るまえの記憶が蘇る。


大して目立てず、平凡を絵に描いたような人生だった。

あの時までは。

遠い親戚に預けられ、そこの義姉をいじめまくった。

あの時、初めて私は人の上に立つことが出来た。

1度その快感を覚えれば、もう2度と止めることが出来ない。

それが人間の本質ってもの。

その義姉から物を奪い、友も、彼氏も、地位も、何もかも奪ってやった。

あいつは死因も何も覚えていないようだけど、ベランダから突き落としてやったのも私だ。

死に際にあいつが浮かべた、あの憎しみと悲しみと焦りと諦めの混ざり合った表情。

最上級の快感。

何もかも奪われた女が命さえも奪われた時の表情。

「尊い命」なんて最初から存在しないんだよ。


あーあ、あの時思い出したら、楽しくて鳥肌立っちゃってるじゃん。

何回転生しても、あれだけは忘れられないなぁ…!


窓の外を眺めると、アイゼンリーダと中庭を散歩しているラルシャーレがいた。

すっかりヒロイン気取りの無邪気な笑顔を浮かべて。

さて、ラルシャーレを不幸せにするために、どうしようかなぁ?


鏡に映ったわたくしの顔は、醜く嗤っている。

私、注目を集めたいなぁ。ラルシャーレのことを、貶めたいな。どんな方法でも、どんな結果になろうとも。


…選択によっては、深く深く堕ちていくような人生の崖っぷちにいることも知らず。

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