9・星泣きの夜
1
星が泣いていた。
小太郎は岩の上に
戦いは終わった。
雛若の恨みを晴らすため、
でも。
これで雛若は喜んでくれるだろうか――小太郎は雛若の顔を思い浮かべながらそればかりを考えている。考えているということは、雛若が喜ぶという確信が持てないということだ。確信が持てないということは――。
雛若は喜んでいないかもしれないと思っているということだ。
小太郎はそこに気づいてしまったのだ。
では、なぜ喜んでくれないのか。喜んでいないとしたら、どう思っているのか。
その答えが、小太郎にはわからなかった。
ただ、夜空に瞬く星が、小太郎には泣いているように見えてならなかった。
そんな小太郎の
別水彦たちが去ったあと、屋敷のあった場所を調べてみたところ、そこには
穴の縁には
その広さは
女や子供が隠れていたところを見ると、いざというときのための隠れ場所として
平邑にはそんな場所はなかった。小太郎がそう言うと、平邑と違って泉邑は平地にあり、隣接する邑と争いになったときに守りきれないかもしれない、だから万が一の場合の備えは平邑以上に考えておく必要があったのだろうと弥二郎は言った。
そして地下に蓄えられていた食糧を持ち出し、米を炊き肉を
怪我を負った仲間には、他の者が口へ食い物を運んでやっていた。
小太郎は塩をまぶした茸の串焼きを一本食べたが、それ以上は食べたくなかった。
なんとなく、騒ぐ気持ちにもなれなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます