6・天下を齎す男
1
弥二郎の予想は当たっていた。
カイナ神社には敵がいた。
小太郎は神社を囲む木立の合間からその姿を眺めている。
背中しか見えないが、泉邑の人間ではないことはすぐにわかった。見たことのない装束を纏っていたからだ。
黒い
そんな姿の者は泉邑にはいない。もちろん
雛若も知らない様子だったが、ここには人が触れてはならない何かがあるということだった。
「待て!」
小太郎は木立の合間に茂る
笹薮を抜けた。
砂利の上に出た。
侵入者の前に立ちはだかった。
「誰だ、貴様は」
侵入者が柔和な顔で
「ほう、これはまた
男は子を
「誰だって
口調がきつくなる。しかし男は落ち着いた様子で
「
「名乗っておくだと」
「どこの誰かわからないような奴に、ここを犯されて黙ってられるか」
小太郎は掴みかかった。掴んでしまえば勝てると小太郎は思っていた。力での勝負に持ち込めば、まず負けはない。
さらに左手で掴みかかった。それも躱された。
連続で掴みかかる。右手と左手、交互に。
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