3
銅剣の刃が――。
手前の半分を残して――。
落ちた。
そこでようやく、小太郎は事態を理解した。
別水彦の剣を折るか、自分の剣が折られるか――小太郎が想定していた結果はそのどちかだった。だが、実際はそのどちらでもなかった。
負けたのは小太郎の剣だが、折られたわけではなかった。小太郎の剣は――。
切断されたのだ。
小太郎は
別水彦ははじめから、小太郎の剣を切断するつもりだったのだ。
別水彦が再び高笑いした。
「強きは
「知識? なんのことだ」
半分になった銅剣を持ったまま、小太郎は
「知れたこと。剣の成分のことよ」
小太郎が後退ると当時に、別水彦は進んだ。互いの距離は変わらなかった。
あのときの逆だと小太郎は思った。
あのとき――カイナ神社に来た別水彦に小太郎が奇襲をかけたときのことだ。あのときは別水彦が引き、小太郎が迫っていた。今は立場が逆転している。
「成分?」
奥歯を噛み締めながら、小太郎はさらに引く。
そうだ成分だと別水彦は言った。赤く輝く剣の先を小太郎に向ける。
「おまえの剣は銅。
「なに?」
「この剣に使われている鉄の成分、それは――」
別水彦は剣を天に掲げて言った。
「
わからなかった。鉄と銅の違いも小太郎にはよく分かっていない。鉄の中の、さらに細かい区別などつくわけがなかった。
だが、すぐに弥二郎が反応した。
「日緋色金。聴いたことがある。
「
「気をつけろ小太郎。そいつの言うことは本当だ。いくら小太郎が怪力の持ち主だろうと、切れ味の鋭い日緋色金の剣の前には無力だ。岩を投げつけようが丸太を投げつけようが意味がない。斬られてしまう。力の勝負に持ち込めば小太郎が勝つだろうが、近づく前に斬られるぞ」
弥二郎の言葉を聞いて怯えたのだのだろう。邑人の一人が持っていた槍を取り落とした。
続いて二人が後ずさった。
三人が背中を向けた。
あとは
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