第8話 青き迷宮
ドナウがフェルナンデスとの対話を終えた後、彼は青き地獄のさらに奥深くへと踏み込むことを決意した。青い霧が立ち込める中、彼の周囲の景色はますます奇妙さを増していった。青い空に青い月が浮かぶ不思議な世界、青い草原には青い花が咲き乱れ、青い川が流れている。まるで絵本の中に迷い込んだかのような感覚だった。
「この世界……ほんとに理解不能だな……」ドナウは呟きながら、足元を確かめるように進んでいった。
道を進むにつれて、彼の前には突如として青い迷宮が現れた。迷宮はまるで生き物のように変化し、壁が動いたり、通路が曲がったりする。青い迷宮の中では、どこに向かっているのかすら分からなくなるほどだった。
「迷宮ってレベルじゃないよ、これ……」ドナウは混乱しながらも、進む道を選ぼうとする。
迷宮の中を進むうちに、ドナウは奇妙な青い生物たちに出会った。青いスライムがふわふわと浮かんでおり、彼に対して無邪気な表情で挨拶をしてきたり、青いパンダがひたすら竹を食べ続けていたりした。
「パンダが竹を食べるのは普通だけど、青いパンダって……」ドナウは困惑しつつも、彼らを見守るしかなかった。
さらに進むと、青いリスが木から飛び降りてきて、ドナウの前に立ち塞がった。リスは片方の手に青いリンゴを持ち、もう片方の手には青い鍵を握っていた。リスはおもむろに青い鍵をドナウに差し出し、何かを伝えようとしているようだった。
「これ、どういう意味だ?」ドナウは鍵を見つめながら首を傾げた。
その瞬間、青い迷宮の中で突然、音楽が流れ始めた。メロディは「美しく青きドナウ」のアレンジバージョンで、青い空間の中に響き渡る。それと同時に、迷宮の壁が変化し、リズムに合わせて青い花が踊り出したり、青い木々が揺れたりするのが見えた。
「な、何これ……?」ドナウは音楽に合わせて踊る花や木々に呆然とした。
迷宮の奥に進むにつれて、青い迷宮はさらに奇妙な空間に変わっていった。青い草原の上には青いトランポリンが無数に設置されており、ドナウが一歩踏み出すたびに空中に跳ね上がる。その度に青い風が吹き抜け、青い花びらが舞い上がった。
「これが青き地獄……まったく理解できない」ドナウは笑いながらも、どこかしらの不安感を感じていた。
迷宮の中央にたどり着くと、そこには巨大な青い時計が設置されていた。時計の針は青い光を放ちながら、一定のリズムで回っている。しかし、その時計の周りには青い霧が立ち込めており、まるで時間が止まっているかのような感覚を与えていた。
「これは……どう解釈すればいいんだ?」ドナウはその時計に近づきながら考え込んだ。
時計の前に立つと、突然、青い光がドナウを包み込んだ。彼はその光に引き寄せられ、青い迷宮の中心に引き込まれた。そこには、青いスフィアが浮かび上がっており、その中には数多くの青い波紋が広がっていた。スフィアの中には、青いシルエットが見え、まるで何かの意志がそこに宿っているかのようだった。
「このスフィア……一体何なんだ?」ドナウはその中の青いシルエットに目を凝らした。
すると、スフィアの中から突然、青い顔が現れた。顔は一瞬、フェルナンデスの顔と似ているように見えたが、その後すぐに形を変え、青い笑顔を浮かべる様子が見えた。
「お前の力を引き出すための試練だ……」青い顔が語りかけてきた。「青き地獄の中で、心の奥底に眠る力を呼び起こせ」
「なんでこんなことを……?」ドナウはその言葉に戸惑いながらも、試練に立ち向かう決意を固めた。
青い顔はさらに続けた。「青き地獄は、お前自身の内なる力を試す場だ。お前がその力を受け入れるかどうかは、お前自身の選択次第だ」
ドナウはその言葉を聞き、深呼吸をしてからスフィアに手を伸ばした。青い光が彼の手に触れると、次第に彼の体が青い光に包まれ、心の奥底に眠る力が目覚めていく感覚を覚えた。
「これが……俺の力なのか……?」ドナウはその感覚に驚きながらも、次第にその力を受け入れることを決意した。
青い光が消えると、ドナウは再び迷宮の中に戻っていた。しかし、その周囲の景色は変わっており、青い迷宮は彼の心の変化を反映するかのように変わっていた。
「これが、俺の力……そして、青き地獄の真実なのか……」ドナウはその新たな感覚に戸惑いながらも、次の試練に向けて準備を整えた。
「青き地獄の試練を乗り越え、真の力を手に入れる……それが俺の使命だ」
ドナウはそう心に誓い、新たな決意を胸に、青き地獄の迷宮を進んでいった。この世界の奇妙さと絶望を超えて、彼の旅は続いていくのだった。
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