第9話 青きスワンの終焉

青き地獄の広大な迷宮を進むドナウは、次第に心の奥底に秘めた力を引き出しながら、青い景色の中で新たな道を模索していた。迷宮の中心部に近づくにつれて、彼の心は緊張と期待でいっぱいになっていた。しかし、運命は残酷だった。彼が感じていた平穏は、一瞬のうちに崩れ去ろうとしていた。


ドナウが迷宮の奥深くにたどり着いたそのとき、突然、青い光が彼を包み込み、空間が歪み始めた。光が収まると、ドナウは見知らぬ場所に立っていた。そこは一面が青い水で満たされた広大な湖だった。湖の中央には、小さな島が浮かんでおり、その上に一つの古びた建物が立っていた。


「ここは……?」ドナウはその場所に戸惑いながら、周囲を見回した。


青い湖のほとりに立つと、突然、湖の水面が波立ち、そこからスワン・ホワイトが姿を現した。スワンは青いドレスを着ており、どこか神秘的な雰囲気を漂わせていた。


「ドナウ!」スワンは驚きと安堵の入り混じった声で呼びかけた。「やっと見つけたわ。ここは……」


「スワン、どうしてここに?」ドナウは驚きながらも、スワンに駆け寄った。


「私も青き地獄の中で迷子になっていたの。でも、ここで何か重要なことをしなければならない気がして……」


スワンはその言葉を口にした瞬間、湖の中から青い影が現れた。それは巨大な青いドラゴンで、威圧的な姿と共に青い炎を吐き出しながら近づいてきた。


「スワン、危ない!」ドナウはスワンの元に駆け寄り、ドラゴンに対抗しようとしたが、スワンは彼を止めた。


「私がこのドラゴンと戦うわ。あなたはここで待っていて」


「そんな……ダメだ、危険すぎる!」ドナウは必死にスワンを止めようとしたが、スワンは決意を固めた表情で彼に微笑んだ。


「これは私の試練なの。あなたがここにいても、状況は変わらないわ」


スワンはそのまま湖の中に飛び込み、青いドラゴンと対峙した。ドラゴンは大きな青い翼を広げ、空中に浮かびながらスワンに向かって青い炎を放った。スワンはその炎を避けるために華麗に舞い上がり、青い剣を取り出してドラゴンに立ち向かった。


ドナウはその光景を見守りながら、スワンを助けようとする気持ちと、彼女の力を信じる気持ちでいっぱいだった。スワンはドラゴンとの戦いで巧みな技を駆使し、青い剣を振るってドラゴンの攻撃をかわしていた。しかし、ドラゴンの攻撃は徐々に激しくなり、スワンの体力も限界に近づいていった。


「スワン、気を付けて!」ドナウは叫びながら、湖のほとりから彼女に声をかけ続けた。


スワンは必死に戦いながらも、次第に息切れし、青い剣の振るいが鈍くなっていった。ドラゴンはその隙を見逃さず、スワンに向かって青い炎を集中的に放った。スワンはその炎を受けて、体を焼かれながらも、最後の力を振り絞ってドラゴンに立ち向かおうとした。


「もう少し……もう少しで……」スワンは苦しそうに呟きながらも、ドラゴンに対して最後の攻撃を仕掛けた。しかし、ドラゴンの反撃は容赦なく、スワンは青い炎に包まれながら倒れ込んだ。


ドナウはその瞬間、胸が締め付けられるような痛みを感じた。彼は必死にスワンに駆け寄ろうとしたが、湖の水が彼の足を引き止め、彼女に近づくことができない。


「スワン!」ドナウは絶叫した。その声は青い湖に響き渡り、スワンの耳にも届いた。


スワンはその苦しみの中で微笑み、最後の言葉を口にした。「ドナウ……私は……ここで終わるわ。でも、あなたには……幸せを見つけてほしい……」


スワンの目は次第に閉じられ、青い炎の中で彼女の体が消えていった。青いドラゴンもその後、消え去り、湖の水面は再び静寂を取り戻した。


ドナウはその光景を見つめながら、涙を流すしかなかった。スワンの最期を目の当たりにした彼は、自分の無力さに打ちひしがれ、心の中で深い悲しみを抱えた。


「スワン……お前がいなくなってしまった……」ドナウは呟きながら、青い湖のほとりで一人、深い悲しみに沈んでいた。


その後、青き地獄の迷宮は再び彼に試練を与えるかのように変化していった。ドナウはスワンの最期を胸に、新たな決意を固めながら、次の試練に向けて歩みを進めることを決意した。彼の心にはスワンの言葉とその最期の姿が刻まれ、彼の旅は一層厳しいものとなっていった。

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