第7話 青き地獄の真実

ドナウが青い世界を進み続ける中で、彼の心には次第に違和感が募っていた。何かが違う――この世界が本当に「地獄」なのかという疑念が、彼の中で次第に大きくなっていった。


奇妙で滑稽な光景が続く中で、ふとした瞬間に彼は目を覚ましたかのように、その違和感が確信に変わった。ここは「地獄」ではない、少なくとも彼が想像していた地獄ではなかった。ドナウは、この世界に潜む真実を確かめる決意を固めた。


「……この世界、何かがおかしい。何かが隠されているんだ」


彼は周囲を見渡し、青の迷宮を抜ける手がかりを探し始めた。そして、長い探求の末に辿り着いたのは、一つの古びた石碑だった。石碑には、古代の文字で何かが刻まれており、それを読み解くと次のような内容が書かれていた。


「青き地獄――ここは真の地獄から隔てられし世界」


「青き地獄……?」ドナウはその言葉を口に出して繰り返した。


そう、この世界は地獄ではなかった。ここは「青き地獄」と呼ばれる、別の場所だったのだ。ドナウはそれを知り、全てが繋がったように感じた。


「だからこんなに奇妙な光景が広がっていたのか……でも、なぜ俺はここにいるんだ?」


ドナウがその問いを抱えたまま石碑を見つめていると、突如として足元に影が差し込んだ。振り向くと、そこには一人の男が立っていた。彼は黒いコートを羽織り、鋭い眼光を持つ、どこか冷たい雰囲気を纏った人物だった。


「ようやく気づいたようだな、ドナウ・カルマンディ」


その男はドナウに向かって冷静に語りかけた。ドナウはその声に聞き覚えがないか確認しつつ、警戒心を募らせた。


「お前は誰だ?」ドナウはその男に問いかけた。


「私はカルド・フェルナンデス。この青き地獄の創造者だ」男はそう名乗り、自信に満ちた表情で続けた。「そして、お前をここに導いた張本人でもある」


「俺をここに……?どうしてそんなことをしたんだ?」ドナウは驚きと怒りを抑えきれず、フェルナンデスに詰め寄った。


「お前には、特別な力があるんだ、ドナウ。その力を確かめるために、お前をここに連れてきた」


「特別な力……?」ドナウは信じられない様子で問い返した。


「そうだ。この青き地獄は、単なる試練の場ではない。ここで真の力を見つけ出すことができる者は、ごく僅かだ。お前はその力を秘めている」


フェルナンデスの言葉はどこか挑戦的でありながら、冷徹な響きを持っていた。ドナウは混乱しつつも、その言葉に隠された真意を探ろうとした。


「お前の目的は何だ?俺をここに閉じ込めて、何をしようとしている?」


「私の目的は、お前が本当の自分を見つけ出すことだ。そして、その力を使って世界を……いや、全ての世界を変える力を持つ者を選び出すことだ」


ドナウはその言葉を聞いて、背筋が凍るような感覚を覚えた。フェルナンデスはただの狂人ではなかった。彼は何か大きな計画を抱いているのだ。それが何であれ、ドナウにはそれを阻止しなければならないという強い使命感が芽生えた。


「俺がその力を持っているっていうなら……お前の思い通りにはさせない!」


ドナウは拳を握りしめ、フェルナンデスに対抗する決意を固めた。しかし、その決意を見透かすかのように、フェルナンデスは冷静な笑みを浮かべた。


「そう簡単にはいかないさ、ドナウ。この青き地獄は、お前の心の奥底に潜む真の力を引き出すために存在する。お前が本当にその力を手に入れるまで、ここから出ることはできない」


フェルナンデスはそう言い残すと、青い霧の中に消えていった。ドナウはその背中を見送りながら、再び自分の力と向き合うことを決意した。


「青き地獄か……俺は絶対に負けない。どんな試練が待ち受けていようと、必ず乗り越えてみせる!」


ドナウは強く誓いを立て、再び前に進むことを決めた。この奇妙な世界で、彼の旅は新たな局面を迎えた。そして、彼の内なる力が覚醒する時が来るのだろうか。それとも、この青き地獄の真の目的が明かされる時が来るのだろうか――。

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